モンゴルの首相

モンゴル首相：国家の行政府を担う要

モンゴル国における首相は、国家の行政府の長として、内閣を率いる重要な役割を担っています。大統領によって指名され、国民大会議の承認を経て任命されるこの職は、モンゴルの政治において中心的な存在です。

首相の権限

首相は、単に行政府の長として政策を決定するだけでなく、国内の行政組織においても重要な権限を有しています。具体的には、首都ウランバートル市や21のアイマク（県に相当）の知事を任命する権限を持ち、地方行政にも大きな影響力を持っています。

歴史的変遷

モンゴルの首相職は、その歴史の中で様々な変遷を経験してきました。

1912年：初代首相の任命
1911年12月にモンゴルが清から独立を宣言した後、1912年7月に初代首相としてトグス・オチリン・ナムナンスレンが任命されました。これは、モンゴルが新しい国家として歩み始めた重要な一歩でした。
1915年：自治国への格下げ
しかし、1915年のキャフタ条約によって、モンゴルは中華民国の宗主権下にある自治国へと格下げされました。この時期、ナムナンスレンは赤軍の協力を得ようとしましたが失敗し、自治は撤廃されました。
1920年：ウンゲルン将軍の侵入
1920年、ロシア白軍のウンゲルン将軍がモンゴルに侵入し、民国軍を駆逐してボグド・ハーンを復位させました。しかし、その残虐行為から、モンゴル人民党は赤軍の協力を得て対抗しました。
1921年：臨時人民政府の組織と独立宣言
1921年3月13日には、モンゴル人民党を中心とする「臨時人民政府」が組織され、同年7月には首都フレーを占領し「人民政府」が成立しました。同年9月には、モンゴル2度目の独立宣言が発せられ、ボグド・ハーンも改めて即位しました。
1924年：共和制への移行とモンゴル人民共和国建国
1924年5月にボグド・ハーンが死去すると、人民革命党は君主制から共和制への移行を決定し、同年11月の第1回国会において初の憲法が採択され、モンゴル人民共和国が建国されました。この際、首相の職名は一時的に閣僚会議議長に変更されました。
1932年：閣僚会議議長への改称
1932年には、首相職は閣僚会議議長へと改称されました。この名称は、1940年に採択された第2次憲法にも明記されています。
1990年：首相職への復帰
民主化後の1990年には、首相の職名が再び用いられるようになり、1992年に採択されたモンゴル国憲法によって、正式に現在の形となりました。

歴代の首相

モンゴルには、多くの首相がその歴史の中で活躍してきました。彼らは、それぞれの時代において重要な役割を果たし、国の発展に貢献してきました。詳細については、関連資料や外部リンクを参照してください。

結論

モンゴルの首相は、単なる行政の長ではなく、国家の歴史と発展を体現する重要な存在です。その権限と歴史を理解することは、モンゴルという国を理解する上で不可欠です。

参考資料

橘誠「「モンゴル」独立と領域問題―露蒙協定の分析を中心に」 『アジア研究』 52巻3号、2006年7月
Sanders, Alan J. K. (2010). "PRIME MINISTER 1921-2009". Historical Dictionary of Mongolia (Third ed.). Scarecrow Press. pp. 587–588. ISBN 9780810861916。
Sanders, Alan J. K. (2010). "COUNCIL OF MINISTER". Historical Dictionary of Mongolia (Third ed.). Scarecrow Press. p. 176. ISBN 9780810861916。

関連項目

モンゴルの大統領

外部リンク

Official website of the Mongolian government（モンゴル語）
* List and photos of former Prime Ministers（モンゴル語）

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