モンゴルの高麗侵攻

モンゴルの高麗侵攻について

モンゴルの高麗侵攻（モンゴルのこうらいしんこう）は、13世紀初頭から中頃にかけて、モンゴル帝国が朝鮮半島の高麗王朝に対して繰り返し行った軍事行動を指します。この期間、主に1231年から1273年までの間に9回の主要な戦闘が行われ、高麗の国土は大きな損害を被りました。最終的な結果として、高麗は約80年間にわたってモンゴル／元朝の支配下に置かれることとなりましたが、外交を通じて王朝自体は存続しました。

高麗とモンゴルの関係の成り立ち

高麗とモンゴルの関係は1218年に始まりました。当時、高麗は金朝に属する契丹族の一部が乱入したため、モンゴルと共同でこれを撃退しました。その後、高麗は1220年から1223年にかけてモンゴルに朝貢しましたが、1225年にモンゴルの使節が殺害され、この事件が通じてモンゴルの侵攻へと繋がりました。侵攻の際には、チンギス・カンの死後、彼の息子オゴデイがカアンに即位し、侵攻が本格化しました。

初期の戦闘

1231年、モンゴルは高麗に国書を送り、以前の使者の殺害を非難しました。モンゴル軍は鴨緑江を越えて国境の義州を攻撃し、高麗将軍の洪福源が降伏しました。高麗軍は安州や亀城で迎撃を試みましたが、モンゴル軍は開京を陥落させ、高麗王朝は講和を求めざるを得なくなりました。この際、モンゴル側は多額の貢物を要求しましたが、この条件に従わなかったため、さらなる戦闘が続くこととなります。

高麗の反撃と戦況の変化

1232年、高麗王崔瑀はモンゴルの統治官ダルガチ72人を暗殺し、江華島に朝廷を移しました。モンゴル軍はこれに対抗するため再び2度目の侵攻を行いましたが、東部市街を守る高麗軍によって反撃され、停戦が一時的に成立しました。しかし、この後もモンゴルの襲撃が続き、頭の痛い状況が続きました。

戦争の進展

1234年にはモンゴル軍が更なる侵攻を行い、高麗の補給路を断つべく農地を攻撃しました。江華島政権はそれに応じて防御を強化しましたが、農村の荒廃と国土の蝕という深刻な結果を招きました。1250年代には忠烈王が登場し、親モンゴル政策を展開することになります。元朝との関係を維持しながら、反モンゴル派との対立に悩まされました。

侵攻終焉後の高麗の変遷

モンゴルの支配により、高麗は元朝との複雑な外交関係の構築を強いられました。高麗王室は元朝に応じて貢物を贈り、往復することでその地位を保とうとしました。クビライの時代に入ると、高麗は元の藩地としての立場を強め、同時に自国の文化を守ることに苦心しましたが、最終的には1356年に恭愍王が元から独立を果たします。しかし、1350年代から高麗は徐々に元の影響から脱却し、1392年には李氏朝鮮が成立し高麗王朝は滅亡しました。

このように、モンゴルの高麗侵攻は高麗の政治的状況や国際関係に深刻な影響を与え、その後の歴史の流れを大きく変えることとなりました。

もう一度検索