モンゴル帝国帝位継承戦争

モンゴル帝国帝位継承戦争

モンゴル帝国の帝位継承戦争は、1260年から1264年にかけて発生しました。この戦争は、帝国の第4代ハーン、モンケの死後にその兄弟であるクビライとアリクブケがいずれもハーンの地位を主張したことに端を発します。この結果、帝国は分裂状態に陥り、内戦が勃発しました。

当初はアリクブケが優勢とされましたが、最終的にはクビライが勝利を収め、名実ともに第5代ハーンとなります。この内戦は「アリクブケの乱」と呼ばれることが多いですが、これは勝者であるクビライの視点からの命名であり、歴史的にはその背景には複雑な事情が存在します。さらに、多くの歴史書はアリクブケもカアンの一人として取り扱い、その影響力を示しています。

背景

1251年、モンケはカアンとして即位し、対南宋および西アジアへの遠征が計画されました。しかし、クビライは南宋への侵攻に際して短期決戦を避け、長期戦を選択しました。このことからモンケは不満を抱き、一時的にクビライを更迭し、南宋侵攻の指揮を執ります。しかし1259年、モンケは軍陣内で急死しました。彼の死に際し、後継者の指名は無かったため、モンゴル帝国は建国以来の最大の内戦に突入しました。

継承候補と内戦の勃発

モンケの死後、後継者の候補は大きく分けて二つのグループに分かれていました。兄弟たちであるクビライ、フレグ、アリクブケとモンケの遺児たちの間で争われますが、フレグは遠征先のイランにいたため議論から除外されます。結果として、正統性や立ち位置からアリクブケを支持する動きが強まりました。しかし、クビライは当時の状況に逆らい、南進を遂げます。

この戦略により、クビライは南宋遠征軍全体の先頭を務め、多くの将軍たちが彼に従うようになりました。そして1260年、クビライは金蓮川でクリルタイを開き、皇帝に即位しました。対するアリクブケも即座にクリルタイを開き、カアンに即位します。

戦争の展開と終息

二人のカアンが対立する中、戦意や結束はクビライ側が優れ、アリクブケ側は消極的でした。アリクブケは軍勢が劣勢にある中、最終的には自軍を支えるためにチャガタイ家へ支援を求める行動に出ますが、彼の意に反して反旗が翻されます。追い詰められたアリクブケはイリ渓谷を攻撃し、ある程度の成功を収めますが、捕虜を処刑するという致命的なミスを犯し、自軍の支持を失います。

1263年にはイリ渓谷で飢饉が発生し、アリクブケ軍は完全に解体。翌1264年、アリクブケは最終的にクビライに降伏し、これにより約4年にわたる帝位継承戦争は終了します。この内戦は、モンゴル帝国の歴史の中で重要な転換点となります。

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