モンタナ州会議事堂

モンタナ州会議事堂

アメリカ合衆国モンタナ州の州都、ヘレナ市に堂々と立つモンタナ州会議事堂（Montana State Capitol）は、同州の立法府が集う重要な施設です。この歴史ある建物には、州議会を構成する上院と下院、双方の本会議場が収められています。

歴史と建築

その建設は19世紀末の1896年に始まり、20世紀を迎えた1902年に完成を見ました。当時の急成長期を迎えていたモンタナ州の象徴として計画され、初期の州政の中心となりました。その後、州の発展に伴う行政機能の拡大に対応するため、1909年から1912年にかけて両翼部分が増築され、現在の姿に近い形となりました。これらの歴史的価値と建築的意義が認められ、モンタナ州会議事堂はアメリカ合衆国の国家歴史登録財に指定され、その永続的な保存が図られています。

建物のデザインは、古代ギリシア建築の優美さと均衡を取り入れた新古典主義建築様式を採用しています。外壁には、モンタナ州地元産の高品質な御影石と砂岩が豊富に使用されており、地域に根ざした堅牢かつ美しい外観を創り出しています。中央にそびえる印象的なドームは、時の経過とともに美しい緑青を纏った銅板で覆われています。このドームの頂上には、『自由の淑女（Lady Liberty）』と称される女性の立像が据えられています。この像は、自由、正義、そして進歩といった普遍的な理想を象徴しており、州都のスカイラインにおいて際立った存在感を放っています。

内部空間と芸術作品

建物内部の中心部には、壮麗なロタンダが広がります。この円形広間は、豪華な金色で彩られており、訪れる人々を圧倒します。ロタンダの壁面は、1902年に画家チャールズ・A・ペドレッティが手掛けた4枚の巨大な絵画が囲んでいます。これらの絵画は、モンタナ州の歴史黎明期において重要な役割を担った主要な担い手たちを描き出しています。具体的には、太古からこの地に暮らす先住民（ネイティブ・アメリカン）、未知なるフロンティアを開拓した勇敢な探検家たち、富を求めて西部へと集まった金鉱夫、そして広大な土地で家畜を管理し生活を築いたカウボーイたちの姿が描かれており、州の多様な成り立ちと開拓の歴史を視覚的に物語っています。これらの作品は、モンタナ州の文化遺産として非常に価値が高いとされています。

ロタンダの西側にあるアーチの上部には、画家アメディー・ジョーリンによる半楕円形の壁画が飾られています。この作品は、女性として初めて連邦下院議員を務めたモンタナ州出身の偉人、ジャネット・ランキン氏の立像を描いたものです。ランキン氏は女性参政権運動のリーダーでもあり、その像を描いたこの壁画は、州の民主主義の歴史における重要な人物とその功績を称えるものです。

さらに特筆すべきは、州下院の本会議場です。ここでは、議長席の真上に、モンタナ州を代表するウェスタン・アートの巨匠、チャールズ・M・ラッセルが描いた巨大な絵画が掲げられています。そのタイトルは『Lewis and Clark Meeting Indians at Ross' Hole』。この作品は、幅762cm、高さ365.8cmという圧倒的なスケールを誇ります。描かれているのは、19世紀初頭にアメリカ西部の探検を行ったルイス・クラーク探検隊が、太平洋への安全な経路を探る中で、現在のモンタナ州南西部に位置するロス・ホールで、この地の先住民であるサリッシュ族（フラットヘッド族としても知られる）に遭遇し、彼らの持つ地理的な知識や山越えのルートについて尋ねるという歴史的な瞬間です。この絵画は、探検史と先住民との関わりという、モンタナ州の重要な一面を詳細かつ力強く視覚的に伝えています。ラッセルの作品は、西部開拓時代の情景を生き生きと描くことで知られており、この議事堂の絵画もその代表作の一つとされています。

モンタナ州会議事堂は、その壮麗な建築と内部に収められた豊かな芸術作品群によって、単なる行政施設に留まらず、州の歴史、文化、そして開拓精神を体現する象徴的な存在として、多くの人々に敬われています。国家歴史登録財としての保護を受けながら、今日もモンタナ州の立法活動の中心として機能し続けています。

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