モントリオール交響楽団

モントリオール交響楽団：カナダを代表する世界的なオーケストラ

モントリオール交響楽団（Orchestre symphonique de Montréal、略称OSM）は、カナダ・ケベック州モントリオールを拠点とする、世界的に名高いオーケストラです。1897年、1930年にも同名の団体が存在しましたが、現在のOSMとは直接的なつながりはありません。現在のOSMは、1934年、ウィルフリード・ペルティエによって「Les Concerts Symphoniques」として創設され、1954年に現在の名称に改称されました。

創設当初はプラトー・ホールを本拠地としていましたが、1964年からはプレイス・デ・アーツとザール・ウィルフレッド・ペレティエを拠点に活動。2011年には、モントリオール・シンフォニー・ハウスへ拠点を移しました。

OSMの歴史には、多くの巨匠が名を連ねています。首席指揮者には、イーゴリ・マルケヴィチ、ズービン・メータといった著名な音楽家たちが就任し、オーケストラのレベル向上に貢献しました。1970年の大阪万博での初来日公演では、当時まだ無名に近い存在ながら、フランツ＝パウル・デッカー首席指揮者のもと、高い演奏技術と合奏力で日本の聴衆を魅了しました。

しかし、OSMの真の飛躍は、シャルル・デュトワが音楽監督に就任した1978年から始まりました。デュトワは、OSMを「フランスのオーケストラよりフランス的なオーケストラ」と称されるほど洗練された響きと技術を持つ楽団へと導き、世界的な名声を得ることに貢献しました。デュトワとOSMのコンビによる来日公演も大成功を収め、日本各地で熱狂的な歓迎を受けました。しかし、2002年、楽団員との確執により、デュトワは音楽監督を辞任することとなりました。これは、OSMの歴史において大きな転換点となりました。

デュトワの後、2006年から2020年まではケント・ナガノが、2021年からはラファエル・パヤーレが音楽監督を務めています。それぞれの指揮者のもと、OSMは新たな音楽的境地を切り開き、進化を続けています。

OSMは、デッカ・レコードとの専属契約のもと、数多くの録音作品を残しています。特に、デュトワ時代の録音は高く評価され、ベルリオーズの『トロイアの人々』（仏ACCディスク大賞受賞）、ドビュッシーの『海』（音楽之友社レコード・アカデミー賞受賞）、ラヴェルの『ダフニスとクロエ』など、多くの名盤を生み出しました。これらの録音は、アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団がかつて残したレパートリーを、現代の技術で再録するプロジェクトの一環として制作されました。

今日、OSMはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やニューヨーク・フィルハーモニックなど、世界の一流オーケストラと肩を並べる存在として、世界中の音楽ファンから高い評価を受けています。その歴史と伝統、そして常に進化を続ける姿勢が、OSMの揺るぎない地位を築き上げているのです。

主な歴代首席指揮者・音楽監督

ウィルフリード・ペレイェィエ (1936年-1941年)
デジレ・デュフォー (1941年-1953年)
イーゴリ・マルケヴィチ (1957年-1961年)
ズービン・メータ (1961年-1967年)
フランツ＝パウル・デッカー (1967年-1975年)
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス (1975年-1976年)
シャルル・デュトワ (1978年-2002年)
ケント・ナガノ (2006年-2020年)
* ラファエル・パヤーレ (2021年-)

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