モーゼル線

モーゼル線

モーゼル線（ドイツ語: Moselstrecke）は、ドイツのコブレンツとペアルを結び、フランス国境まで続く鉄道路線です。ドイツ鉄道によって運営されており、主にモーゼル川の左岸に位置しているため、「川の左岸にあるモーゼル鉄道」とも呼ばれています。主要な経由地は、トライス＝カーデン、コヘム、ブライ、ヴィットリヒ、トリーアなどです。路線には7つのトンネルがあり、その総延長は7.5kmに及びます。

沿線概況

モーゼル線は、コブレンツ中央駅から始まり、ケルン方面のライン川左岸線から分岐してモーゼル川を渡ります。ギュルス鉄道橋を通過後、約55kmにわたってモーゼル川の左岸を走り、トライス＝カーデンを経てコッヘムへと至ります。

コッヘム駅を出発すると、すぐに全長4205mの皇帝ヴィルヘルムトンネルを通過します。このトンネルは、コッヘム・クランペンの経路を短縮するために建設され、ハノーファー - ヴュルツブルク高速線のラントリュッケントンネルが開通するまで、ドイツ最長の鉄道トンネルでした。

皇帝ヴィルヘルムトンネルの南側では、エラーで281mの鋼製桁橋がモーゼル川を跨ぎます。この橋は、モーゼル川の水面から4.2mの高さに位置し、支間は90mです。列車は川の右岸にあるトンネルとネーフ駅、ブライ駅を通過し、再びモーゼル川の左岸に戻ります。ブライには、鉄道と道路が同時に使用する2階建て橋があり、長さは314m、最大支間は72mです。軌道は上層に、自動車道は下層に配置されています。

ブライ鉄道橋のすぐ後には、プリンツェンコプフ山の下を通る458mのトンネルがあります。これにより、ツェルの経路が短縮されています。ピュンデリヒには、全長786mのドイツ最長の斜面高架橋があります。トラーベン＝トラーバッハ方面への支線は、ピュンデリヒ信号場で分岐します。その後、路線はトンネルとモーゼル川沿いを経てヴィットリヒ方面へと進みます。約40km走行後、シュヴァイヒで再びモーゼル川沿いに到達し、トリーア市のプファルツェルでモーゼル川を4度目に渡り、トリーア中央駅に到着します。

カルトハウス駅ではザール線が分岐します。カルトハウス中分岐点 - コンツ中駅間およびニッテル・トンネル区間は単線です。フランス国境まではモーゼル川と平行に走り、勾配はほとんどありません。フランス国境からは、フランス国鉄所属のTERグランテストが運行を担当します。

歴史

コブレンツ - トリーア区間は、1874年から1879年にかけて建設されました。これは、ベルリン - メス間の軍事鉄道「大砲鉄道」の一部として、プロイセン国有鉄道によって運営されました。建設当時、アパシ - メス区間はアルザス＝ロレーヌ地方に属していました。1878年5月15日にディーデンホーフェン（ティオンヴィル） - エーラング区間が開通し、翌年にはコブレンツまで全線が開通しました。

ドイツ帝国時代の駅舎は、技術的および文化的なモニュメントとして重要ですが、保存状態が良くないものもあります。コッヘム駅舎は、世紀の変わり目に「故郷風」の主要作品として特に言及されています。

1915年からは、トリーアとコブレンツの間に新しい路線が建設されました。これは、ザール地域の産業と帝国との連結を強化し、皇帝ヴィルヘルムトンネルが閉鎖された場合でも鉄道接続を維持し、より多くの兵力と軍事装備をドイツ帝国の西側国境からフランス方向に輸送することを目的としていました。この新線は、ベルリン - メス区間の大砲鉄道の一部であり、軍事戦略上の重要性を持っていました。

第一次世界大戦後も新線の建設工事は続けられました。しかし、ヴェルサイユ条約の条項により、1923年以降は建設が妨げられました。東側の区間を開通する試みも、財政的な理由で1933年に中止されました。

ナチス時代には、トンネル内で兵器が生産され、強制収容所の囚人も動員されました。ブルッティヒ＝トライス強制収容所が設置され、その痕跡は今も残っています。

1950年代には、フランスの電化システム（25kV、50Hz）での電化が計画されましたが、ザール地方の統合では実現しませんでした。代わりに、モーゼル川の水運を整備する事業が行われ、架空電車線は1973年にようやく設置されました。

運行形態

モーゼル線は、軍事的な起源にもかかわらず、フランスやルクセンブルクを含むモーゼル川流域にとって経済的に重要な路線です。

インターレギオ列車が廃止された後、ルクセンブルク - ノルトダイヒ・モーレストまたはエムデン区間で運行するインターシティ35系統に転換されました。

2015年、ドイツ鉄道はこの路線での新たな長距離輸送は2030年まで不可能だと見なしました。しかし、ルクセンブルク国鉄は2017年12月からルクセンブルク - デュッセルドルフ区間で毎日2往復の列車を運行しています。

地域輸送では、コブレンツ - ブライ区間はライン＝モーゼル運輸連合（VRM）の運賃システムが適用され、ベンゲル - ペアル区間はトリーア地域運輸連合（VRT）によって管理されます。ネニヒ - ペアル区間の駅はザールラント運輸連合（saarVV）の管轄下にあります。

主な運行系統

IC 37: デュッセルドルフ - ルクセンブルク（1日1往復、ルクセンブルク国鉄所属）
快速列車（RE 1）: コブレンツ - マンハイム（60分間隔）
快速列車（RE 11）: コブレンツ - ルクセンブルク（60分間隔、ルクセンブルク国鉄所属）
快速列車（RE 16/TER）: トリーア - メス（1日2往復、休日のみ）
普通列車（RB 81）: コブレンツ - トリーア（30分/60分間隔）
普通列車（RB 82）: （コブレンツ - ）トリーア - ペアル（60分間隔）

貨物輸送

北海の港からディリンゲン製錬所やザールラント州の他の製錬所まで、重鉱石を運搬する列車が運行されています。また、ザールの坑道からの石炭廃棄物の除去も重要な役割を担っています。

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