モーゼルC96

モーゼルC96とは

モーゼルC96（Mauser C96）は、ドイツが生んだ自動拳銃で、1896年から1937年までの41年間に渡って生産されました。特にその独特なデザインや機能性から、軍用・民間問わず多くの支持を集めました。100万丁以上の生産数を誇るこの武器は、戦場での実用性と魅力的な外観によって、20世紀初頭には有名な自動拳銃の一つとなりました。

開発の背景

C96の開発は、モーゼル社の創業者であるモーゼル兄弟の直接の手によるものではありません。社内の試験場監督であったフィデル・フェーデルレが、兄弟の意向に反して大型拳銃の設計を秘密裏に進め、1893年からその活動を続けていました。最初のパイロットモデルが1894年に完成し、その後モーゼル社が正式にプロジェクトに組み込んでいきます。1896年末からの生産開始まで、特許も取得し、様々な改良が加えられました。

C96は、特にグリップがマガジンハウジングを兼ねるアメリカのコルト社の特許を避ける形で設計されたため、トリガーの前にマガジンハウジングを持つという形状が特徴です。この設計により、射撃時の重量バランスが改善され、正確性も高まっています。アタッチメントとしてストックを追加できる点も、代用カービンとしての利用を可能にしました。

構造と機能

C96は主に7.63x25mmマウザー弾と9x19mmパラベラム弾を使用するモデルに分かれており、装弾方法は当時のボルトアクションライフルに類似していました。マガジンはダブル・カラム方式で弾薬が収納され、コッキングピースの操作は特に工夫された設計が施されています。セーフティレバーも前期型と後期型で異なる特徴を持っており、それが見分けられるポイントとなっています。

運用状況

C96は多くの国々で運用され、中国やスペインによるコピー生産も行われました。特に日本では中国戦線で多くのC96が鹵獲され、1940年から「モ式大型拳銃」として制式名称が与えられました。その設計や弾丸の構造は、日本の南部式自動拳銃にも影響を与えたと言われています。

中国における使用

中国では、特にトンプソン・サブマシンガンとの共用が可能な.45ACP弾仕様のモデルが山西省の工廠で生産され、広く利用されました。また、日[[清戦争]]の敗北後、中国は急激に軍備の近代化を進める中で、C96は容易に入手できる拳銃として重要な位置を占めました。1916年から1936年の間に約300,000丁が輸出され、その存在感を強めました。

バリエーション

モーゼルC96は多くの派生型が存在し、これらは後世のコレクターや研究者によって分類されました。特に「レッド9」として知られる9mm改造モデルや、ロシア向けに短縮された「ボロ・モーゼル」モデルなど、多彩なバリエーションが展開されています。

このように、モーゼルC96は名作拳銃としてその歴史の中で多くの国、文化に影響を与え続けてきました。現在でもそのデザイン性と機能性に多くの人々が注目しています。

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