モーターヘッド (アルバム)

モーターヘッド - ファーストアルバムに秘められた物語

モーターヘッドの記念すべきファースト・アルバムは、1977年にリリースされた。しかし、その誕生までには紆余曲折があった。

制作の背景

バンドは当初、ユナイテッド・アーティスツ・レコードと契約していたが、1976年初頭に完成させたデビュー・アルバム用の音源は、レーベルに却下されてしまう。この幻のアルバムは、バンドがブレイクした後、『オン・パロール』として1979年末にようやく日の目を見ることになった。

その後、エディ・クラークが加入するも、オリジナル・ギタリストのラリー・ウォリスが脱退し、トリオ編成に戻る。そして、チジック・レコードとの契約を経て、本作がリリースされる。しかし、翌年にはブロンズ・レコードへ移籍している。

チジック・レコードの創設者テッド・キャロルによれば、バンドは当時解散を考えており、当初は1977年4月1日にマーキー・クラブで行われる予定だった解散ライヴをアルバムとして録音する予定だったという。しかし、マーキーでのレコーディング費用が高額だったため、キャロルはバンドに活動継続を進言し、1977年4月28日にケントのエスケイプ・スタジオでレコーディングが行われた。

また、このセッションのアウトテイク4曲は、1980年にビッグ・ビート・レコードからEP『Beer Drinkers & Hell Raisers』としてリリースされている。

楽曲について

収録曲には、バンドの中心人物であるレミー・キルミスターが以前在籍していたホークウインドの楽曲のリメイクが3曲含まれている。「モーターヘッド」、「ロスト・ジョニー」、「ウォッチャー」がそれにあたる。また、「トレイン・ケプト・ア・ローリン」はタイニー・ブラッドショウのカバーである。

バンドのオリジナル曲では、「ホワイト・ライン・フィーヴァー」と「キープ・アス・オン・ザ・ロード」が本作のために書き下ろされた新曲であり、残りの曲は前述の『オン・パロール』のセッションでも録音されている。

ジャケット・デザイン

ジャケット・デザインは、ホークウインド時代からレミーと親交のあったジョー・ペタグノが担当。このジャケットで、バンドのシンボルとなるキャラクター「スナグルトゥース」が初めて登場した。

反響と評価

アルバムは全英アルバムチャートで43位を記録。AllMusicのレビューでは、5点満点中3点が与えられ、「チャート上では小ヒットに終わったものの、『モーターヘッド』はグループのスタイルを確立した」と評されている。また、「本作以前のハードロックは演奏力や自己顕示欲に重点が置かれていたが、モーターヘッドはメインストリーム・ロックを野蛮な原点に立ち戻らせ、パンクスから好まれたのも当然だ」とも評されている。

収録曲

1. モーターヘッド - "Motorhead"
2. バイブレーター - "Vibrator"
3. ロスト・ジョニー - "Lost Johnny"
4. アイアン・ホース/ボーン・トゥ・ルーズ - "Iron Horse/Born to Lose"
5. ホワイト・ライン・フィーヴァー - "White Line Fever"
6. キープ・アス・オン・ザ・ロード - "Keep Us on the Road"
7. ザ・ウォッチャー - "The Watcher"
8. トレイン・ケプト・ア・ローリン - "Train Kept A-Rollin'"

2017年リマスターCDボーナス・トラック

9. シティ・キッズ - "City Kids"
10. ビア・ドリンカーズ・アンド・ヘル・レイザーズ - "Beer Drinkers and Hell Raisers"
11. オン・パロール - "On Parole"
12. インストロ - "Instro"
13. アイム・ユア・ウィッチドクター - "I'm Your Witchdoctor"
14. ロスト・ジョニー（Mix 2） P. - "Lost Johnny (Mix 2) "
15. シティ・キッズ（Mix 1） - "City Kids (Mix 1)"
16. アイム・ユア・ウィッチドクター（Alternative Mix） - "I'm Your Witchdoctor (Alternative Mix)"
17. ザ・ウォッチャー（Mix 3） - "The Watcher (Mix 3)"
18. ホワイト・ライン・フィーヴァー（Mix 7） - "White Line Fever (Mix 7)"
19. キープ・アス・オン・ザ・ロード（Mix 1） - "Keep Us on the Road (Mix 1)"
20. モーターヘッド（Alternative Vocals & Guitar Solo） - "Motörhead (Alternative Vocals & Guitar Solo)"

このアルバムは、モーターヘッドの初期のサウンドを確立した重要な作品であり、後の音楽シーンに大きな影響を与えた。レミー・キルミスターの個性が際立つ、荒々しくも魅力的な一枚である。

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