モーティマーズ・クロスの戦い

モーティマーズ・クロスの戦い：薔薇戦争におけるヨーク派の勝利

モーティマーズ・クロスの戦いは、1461年2月2日にヘレフォードシャーのウィグモア近郊で繰り広げられた、薔薇戦争における重要な戦闘の一つです。この戦いは、ヨーク派とランカスター派の対立が激化する中で発生し、後のイングランド王エドワード4世の運命を大きく左右しました。

背景

前年12月のウェイクフィールドの戦いでヨーク公リチャードが戦死し、ヨーク派は危機に瀕していました。しかし、リチャードの息子である18歳のマーチ伯エドワード（後のエドワード4世）が、ヨーク派の指揮を引き継ぎました。エドワードは、ペンブルック伯ジャスパー・テューダーとウィルトシャー伯ジェームズ・バトラー率いるランカスター派のウェールズ軍が、ランカスター派の本隊と合流するのを阻止しようとしました。

戦闘の経過

1461年2月2日、モーティマーズ・クロスにおいて、ヨーク派とランカスター派の軍勢が激突しました。エドワード率いるヨーク派は、巧みな戦術と兵士の士気の高さにより、ランカスター派を圧倒しました。ペンブルック伯らは敗走し、戦いはヨーク派の勝利に終わりました。

戦いの影響

この戦いで、ランカスター軍に参加していたオウエン・テューダー（ペンブルック伯の父）が捕らえられ、処刑されました。この勝利は、エドワードにとって大きな転機となり、後の王位獲得への道を開きました。

また、戦闘前には幻日（太陽の周りに光の輪が現れる現象）が観測されたと記録されています。この珍しい現象は、ヨーク派の兵士たちに神の啓示であるかのような印象を与え、士気を高めたと考えられています。ヨーク派が紋章に太陽をかたどったのは、この幻日にちなんだものと推測されています。

まとめ

モーティマーズ・クロスの戦いは、薔薇戦争におけるヨーク派の重要な勝利であり、エドワード4世の台頭を決定づける出来事となりました。また、幻日の出現という神秘的な出来事も、この戦いを語る上で欠かせない要素となっています。

参考文献
* トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

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