モーリシャス警察隊

モーリシャス警察隊（MPF）

モーリシャス警察隊（Mauritius Police Force, MPF）は、インド洋に浮かぶ島国、モーリシャス共和国における警察組織であり、同時に準軍事組織としての役割も担っています。モーリシャスは常備軍を保持していないため、MPFが事実上、同国の軍事力の中核を担っていると言えるでしょう。

MPFの本隊は約8,000人の人員を擁し、国内の治安維持活動を основнойに活動する警察組織です。しかし、MPFの特筆すべき点は、傘下に特別機動隊（SMF）と沿岸警備隊（NCG）という2つの準軍事組織を抱えている点にあります。

特別機動隊（SMF）

特別機動隊（Special Mobile Force, SMF）は、1960年に創設された歴史ある部隊です。これは、イギリス軍守備隊の撤退に伴い、国内の治安維持体制を強化する必要が生じたため、MPF本隊に先駆けて設立されました。SMFの初期の人員構成は、従来の警察官からの選抜者と、第二次世界大戦に従軍したモーリシャス人退役軍人でした。

現在のSMFはおおむね戦闘団規模で、総兵力は約1,500人。6個自動車化歩兵中隊、2個騎兵中隊、そして1個工兵中隊によって編成されています。SMFは、国内の治安維持活動のほか、災害派遣などにも対応しており、その活動は多岐にわたります。また、SMFにはイギリス軍やインド軍から軍事顧問が派遣されており、訓練や装備の面で支援を受けています。

沿岸警備隊（NCG）

沿岸警備隊（National Coast Guard, NCG）は、モーリシャスの領海警備を основнойに活動する組織です。総兵力は約500人で、5隻の哨戒艦艇を保有しています。その中でも最大の艦艇は、外洋哨戒艦「バラクーダ」（MCGS Barracuda）です。バラクーダは、インドのGarden Reach Shipbuilders & Engineers社で建造され、2013年に就役しました。満載排水量1,350トン、30mm機関砲を1門装備し、ヘリコプターの運用能力も有しています。

NCGは、領海における違法操業の監視や、密輸、海賊行為などへの対処、そして海難救助活動など、幅広い任務を遂行しています。

その他の部隊

MPFは、上記の準軍事部隊の他にも、100人規模のヘリコプター部隊と、270人規模の暴動鎮圧部隊を擁しています。これらの部隊の将校は、イギリス、フランス、インドなどで訓練を受けており、国際的な水準の知識と技能を習得しています。

MPFは、モーリシャスの平和と安全を維持するために、重要な役割を果たしている組織と言えるでしょう。


参考文献
* African Police Oversight Forum (2008). An Audit of Police Oversight in Africa. African Minds. ISBN 9781920299170.

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