モーリス (競走馬)

モーリス：アジアの帝王と呼ばれた名馬の軌跡

モーリス（2011年3月2日生まれ）は、日本を代表する競走馬であり、現在は種牡馬として活躍しています。その輝かしい競走馬時代の活躍は、多くの競馬ファンに深い印象を残しました。

華麗なる競走馬時代

デビューから2年間は重賞勝利に恵まれませんでしたが、2014年に堀宣行厩舎へ転厩すると、その才能が開花しました。転厩後は出走した全レースで連対を達成。2015年は、1000万下条件戦から安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港マイルとマイルGI3戦を含む6連勝という驚異的な記録を打ち立て、JRA賞年度代表馬、最優秀短距離馬に輝きました。

2016年もチャンピオンズマイルを制覇。その後、中距離路線に転向し、天皇賞（秋）と香港カップを制覇した後、現役を引退しました。その圧倒的な強さから、「アジアの帝王」の異名を取ったほどです。

輝かしい血統と生い立ち

モーリスの血統には、日本の競馬史に名を刻む名馬たちが連なります。8代母であるデヴオーニアは、社台ファーム創始者の父である吉田善助氏によってアメリカから輸入されました。その曾孫にあたるメジロクインは、メジロ牧場の基礎牝系となった名牝です。モーリス自身は、北海道日高町の戸川牧場で生まれました。母メジロフランシスは、かつてメジロ牧場に勤務していた戸川牧場代表夫妻が引き継いだ繁殖牝馬でした。

父であるスクリーンヒーローとの配合は、メジロフランシスの産駒に見られた勝負根性の欠如を補う狙いがありました。スクリーンヒーローは、粘り強い末脚と勝負根性が特徴的な馬でした。また、小柄なメジロフランシスの馬格を、スクリーンヒーローの長所であるストライドの大きさでカバーするという狙いもありました。

1歳時には、150万円で落札され、翌年の北海道トレーニングセールでは、2ハロンの最速時計を記録し、ノーザンファームに1050万円で落札されました。これは、吉田善助氏が輸入したデヴオーニアから8代続く血統が、再び吉田一族の手に渡ったことを意味しています。

競走成績の詳細

2歳時は、デビュー戦で2歳コースレコードで勝利。しかし、京王杯2歳ステークスでは出遅れが響き6着に終わりました。3歳時は転厩を挟み、勝ち星を挙げられずに終わりました。

転厩後の4歳時、モーリスは驚異的な強さを見せつけます。転厩初戦から勝利を重ね、ダービー卿チャレンジトロフィーではレースレコードで重賞初制覇。続く安田記念では、G1初制覇を達成。その後、マイルチャンピオンシップ、香港マイルとGIを連勝し、6戦全勝でシーズンを終えました。

5歳時は、当初ドバイターフ参戦を予定していましたが、香港遠征の疲れと爪の怪我により回避。代わりにチャンピオンズマイルを制覇し、GI4連勝を達成。安田記念では2着に敗れ、転厩後初黒星を喫しました。その後、天皇賞（秋）を制し、引退レースの香港カップでは圧勝し、有終の美を飾りました。

種牡馬としての成功

2017年から種牡馬として活躍を始めました。初年度から多くの繁殖牝馬と交配され、その産駒からは、ピクシーナイト（シンザン記念、スプリンターズステークス）、ヒトツ（ヴィクトリアダービー、オーストラリアンギニー、オーストラリアンダービー）、ジェラルディーナ（オールカマー、エリザベス女王杯）、ジャックドール（金鯱賞、札幌記念、大阪杯）など、数々のGI競走馬を輩出しています。オーストラリアでも種牡馬として高い評価を得ており、その成功は、競走馬時代の実績を裏付けるものと言えるでしょう。

モーリスは、競走馬として、そして種牡馬として、競馬界に大きな足跡を残した、まさに伝説的な名馬と言えるでしょう。

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