ヤコフ・ミラトビッチ

ヤコフ・ミラトビッチ：モンテネグロの若き大統領

ヤコフ・ミラトビッチ（Jakov Milatović）は、1986年12月7日生まれ。モンテネグロの政治家、経済学者であり、現在、同国の大統領を務めています。彼は、ズドラヴコ・クリヴォカピッチ政権下で経済開発大臣を務めた経験も持ちます。

生い立ちと学歴

ミラトビッチは、ユーゴスラビア連邦共和国のチトーグラード（現ポドゴリツァ）で生まれました。彼の曽祖父と祖父は、第一次世界大戦中にパルチザンとして従軍していました。父親が社会主義民主党（DPS）に抗議していたため、ミラトビッチは官職に就くことに苦労したと語っています。

彼はモンテネグロ大学経済学部で経済学の学士号を取得。その後、オーストリアやアメリカで研修コースを受講し、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のフェローとして在籍した経験も持っています。セント・ジョンズ・カレッジでは経済学の修士号を取得しました。

経済界でのキャリア

ミラトビッチは、ドイツ銀行（フランクフルト）で勤務経験があります。2014年には、欧州復興開発銀行（EBRD）の経済・政治分析チームのメンバーに選出され、2019年にはルーマニア、ブルガリア、クロアチア、スロベニアを含むEU諸国の首席エコノミストに昇進し、ブカレストのEBRD事務所に拠点を置いていました。

政界への進出

2020年、ミラトビッチは経済開発大臣に選出され、ズドラヴコ・クリヴォカピッチ内閣でミロイコ・スパイッチ財務大臣（当時）と共に「ヨーロッパ・ナウ!」経済改革プログラムを発表しました。しかし、このプログラムは国内で物議を醸しました。クリヴォカピッチ内閣の解散後、ミラトビッチはスパジッチと共に「ヨーロッパ・ナウ」を設立し、スパジッチが党首、ミラトビッチが副党首に就任しました。

2022年の地方選挙では、ミラトビッチがポドゴリツァ市長候補として、ポドゴリツァの組織選挙人リストの先頭に立ちましたが、市長には立候補せず、「ヨーロッパ・ナウ!」所属のオリベラ・インジャックが女性初のポドゴリツァ市長となりました。

大統領としてのキャリア

2023年3月、ミラトビッチは2023年のモンテネグロ大統領選挙に「ヨーロッパ・ナウ!」の後任候補として立候補しました。これは、当初立候補を予定していたスパジッチがセルビアとモンテネグロの二重国籍であることが判明し、州選挙管理委員会（DIK）によって立候補を拒否されたことを受けたものです。

2023年3月19日に執行された大統領選挙の第1回目投票では、得票率29.2％で1位となり、現職のミロ・ジュカノヴィチ大統領（35.2％）と共に決選投票に進みました。4月2日の決選投票では、得票率58.9％を獲得し、41.1％のジュカノヴィチ大統領を破り、見事大統領に当選しました。大統領就任に際し、教皇フランシスコから祝福のメッセージを受け取りました。当選後の公約として、反腐敗、生活水準の引き上げ、EUとの関係強化などを掲げています。

外交政策

ミラトビッチは、モンテネグロのEUへの加盟を強く支持しています。また、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を侵略行為とみなし、ロシアを非難しています。コソボの独立承認を取り消すモンテネグロの提案については、非現実的であるとし、コソボは国際的に認められた国であると述べています。

私生活

妻のミレナ・ミラトビッチとの間に3人の子供がいます。彼はセルビア正教会の信徒であり、オストログ修道院で洗礼を受けました。

ヤコフ・ミラトビッチは、若くして大統領に就任した、モンテネグロの将来を担う政治家として、国内外から大きな期待を寄せられています。

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