ミロイコ・スパイッチ

概要

ミロイコ・スパイッチ（Milojko Spajić、1987年 9月24日生まれ）は、モンテネグロの政治家であり、専門は金融エンジニアです。現在、同国の首相を務めるとともに、中道派政党である「ヨーロッパ・ナウ!」（PES）の党首でもあります。

経歴

プリェヴリャのギムナジウムを優秀な成績で卒業後、日本政府の奨学金を得て大阪大学で一年間学びました。その後、2008年から2012年まで埼玉大学経済学部で計量経済学を専攻。在学中の2010年にはNRI学生小論文コンテストで優勝しています。また、交換留学プログラムを利用して清華大学でも学修経験を積みました。フランスのHECパリビジネススクールでは奨学金を受けて修士号を取得するなど、国際的に質の高い教育を受けています。大学院修了後は、アメリカのウォール街をはじめ、パリや東京など世界の金融センターで実務経験を積みました。特に、政界入りする以前には、著名な投資銀行であるゴールドマン・サックスで専属証券アナリストとして勤務した経験があります。

政治活動

2020年、スパイッチ氏は無党派の立場から政界でのキャリアをスタートさせ、同年の議会選挙ではズドラヴコ・クリヴォカピッチ氏率いる専門家チームの一員として活動しました。彼がモンテネグロに帰国することを決めた主な動機として、当時議論の的となっていた宗教の自由に関する法律の問題を挙げ、国の体制に累積した多くの課題を解決するために貢献したいと述べています。また、状況が改善するまでモンテネグロを離れるつもりはないとし、モンテネグロ人の大半が信仰するセルビア正教会のような8世紀にわたる歴史を持つ組織に対する政教分離に反する国の姿勢は、投資家からの信頼を得られないとの見解を示しました。

2020年12月4日、スパイッチ氏はクリヴォカピッチ内閣において財務・社会福祉大臣に任命されました。大臣在任中、彼は経済大臣だったヤコフ・ミラトヴィッチ氏と共に、後に政党名ともなる「ヨーロッパ・ナウ!」経済改革プログラムを提唱し、実行に移しました。議会の混乱期には、クリヴォカピッチ首相が当時のドリタン・アバゾビッチ副首相の解任を提案し、そのポストの後任としてスパイッチ氏を指名する意向を表明したこともありました。

2023年の大統領選挙において、スパイッチ氏は出馬を試みましたが、セルビアとモンテネグロの二重国籍が明らかになったことにより、州選挙管理委員会によって立候補が認められませんでした。しかし、同年4月26日には、彼が「ヨーロッパ・ナウ!」（PES）の選挙人名簿の筆頭候補となることが確定しました。総選挙期間中には、当時のドリタン・アバゾビッチ首相やフィリップ・アジッチ内務大臣から、2023年3月にモンテネグロで逮捕された韓国の仮想通貨開発者ドー・クォン氏との関連を指摘される場面がありました。これに対し、クォン氏自身は選挙後、スパイッチ氏への資金提供を否定しています。2023年6月11日に行われた総選挙で、「ヨーロッパ・ナウ!」はモンテネグロ議会において最も多くの議席を獲得し、第一党となりました。選挙結果を受け、同年8月10日、ヤコフ・ミラトヴィッチ大統領はスパイッチ氏に新政権樹立の組閣を委任しました。そして10月31日、議会は賛成46、反対19票で新内閣を承認し、スパイッチ内閣が正式に発足しました。

人物

スパイッチ氏は、現在の世界の国家指導者の中で、フランスのガブリエル・アタル首相、エクアドルのダニエル・ノボア大統領、ブルキナファソのイブラヒム・トラオレ大統領に次いで4番目に若いリーダーとして注目されています。

母国語であるセルビア語に加えて、英語、日本語、中国語、ロシア語、フランス語といった複数の言語に堪能な語学力を持っています。私生活では、元妻との間に一人の娘がいます。

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