ヤフヤー・ブン・シャラフ・ナワウィー

アブ・ザカリア・ヤフヤー・ブン・シャラフ・アル=ナワウィーについて

アブ・ザカリア・ヤフヤー・ブン・シャラフ・アル=ナワウィー（1233年 - 1277年）は、13世紀シリアにおいて著名なイスラーム法学者およびハディース学者として知られています。ナワウィーという名は、彼の生まれ故郷であるナワー村から派生したものであり、彼のフルネームはアブー・ザカリーヤー・ヤフヤー・ブン・シャラフです。彼はムヒッディーンという尊称を持ち、敬意を込めて「ムヒッディーン・ナワウィー」や「イマーム・ナワウィー」と呼ばれることもあります。

生涯

ナワウィーは、ヒジュラ暦631年ムハッラム月にナワー村で生まれました。18歳になった彼は、ダマスクスに移住し、その後の人生を学究に捧げました。1253年にはメッカへの巡礼を果たし、約15年間公職には就かずに市井のウラマーとして過ごしました。しかし、1267年にはアシュラフィーヤ・ハディース学院の長に就任し、そこでの教育に力を注ぎました。

彼の生涯には苦難もありました。ある年、旱魃が続く中で、ナワウィーはマムルーク朝のスルターン、ルクヌッディーン・バイバルスに税負担の軽減を求める決議を提案しましたが、バイバルスはこの行動に激怒し、ナワウィーを追放しました。後に、バイバルスは不審な状況で殺害され、ナワウィーはダマスクスに戻ることができました。彼はヒジュラ暦676年ラジャブ月24日に故郷のナワー村で亡くなります。彼の死後、その知らせはダマスクスに広がり、教徒たちはウマイヤ・モスクで彼のために祈りを捧げました。

著作

ナワウィーの手による著作は50点以上にも及び、その中でも特に重要なものには以下があります。

• - 『ミンハージュル・ターリビーン』: シャーフィイー派の法学の基本となる古典的な入門書。
• - 『マジュムー・シャルフル・ムハッザブ』: 法的判断を行うための手引き書。
• - 『リヤード・サーリヒーン』: クルアーンの章句と関連するハディースを引用した実用的な宗教書。
• - 『アルバイーン・ナワウィーヤ』: 40以上の伝承を集めたハディース集で、ムスリム全般に広く受け入れられ、多数の注釈書も存在します。日本語訳もあり、1980年に『40のハディース』として出版されています。

思想

ナワウィーの思想は非常に深く、知識を重んじ、世俗から距離を置くことを信条とし、ムスリムに対して一神教を推奨しました。彼はアシュアリー派神学を支持し、クルアーンの解釈においては信仰の側面を重視しました。また、為政者に対する妥協を嫌い、スンナを守ることを重要視し、信徒には聖戦（ジハード）を奨励しました。その影響力は後のスンナ派の活動家イマームたちに受け継がれていきました。

ナワウィーの教えや著作は今なお多くのムスリムに影響を与え続けており、彼の功績はイスラームの学問において重要な位置を占めています。彼の思想は、イスラームの発展に貢献するものとして、今後も研究・再評価されていくことでしょう。

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