ヤブグ

ヤブグ（Yabghu、yabγu、葉護）は、テュルク系国家において用いられた重要な称号・官名の一つであり、中国の史書では「葉護」と記述されています。

ヤブグの称号を持つ主な人物

葉護可汗（587年）: 突厥の君主。
統葉護可汗（619年頃 - 628年）: 西突厥の君主。
肆葉護可汗（628年 - 632年）: 西突厥の君主。
葉護: 亀茲（きじ）の君主。
* 葉護太子: 回鶻（かいこつ）の皇太子。

ヤブグという称号について

ヤブグは、テュルク系遊牧国家における高位の称号であり、可汗（カガン、君主号）に次ぐ地位にあったと考えられています。ヤブグは、国家の重要な地域を統治し、軍事的な指揮権を持つことが多かったようです。また、ヤブグは可汗の代理として外交交渉を行うこともありました。

突厥におけるヤブグ

突厥は、6世紀から8世紀にかけて中央アジアを支配したテュルク系の遊牧国家です。突厥では、ヤブグは可汗に次ぐ地位にあり、東部または西部の地域を統治することが一般的でした。突厥のヤブグは、可汗の任命を受け、その権威の下で統治を行いました。

西突厥におけるヤブグ

7世紀に突厥が東西に分裂すると、西突厥においてもヤブグの地位が重要になりました。西突厥のヤブグは、中央アジアの各地を支配し、唐朝（中国）との外交交渉も担当しました。統葉護可汗や肆葉護可汗は、西突厥の有力なヤブグであり、可汗の地位を争うこともありました。

回鶻におけるヤブグ

回鶻は、8世紀から9世紀にかけて中央アジアを支配したテュルク系の遊牧国家です。回鶻では、ヤブグ太子が皇太子の称号として用いられました。ヤブグ太子は、可汗の後継者として、国家の重要な役割を担いました。

亀茲におけるヤブグ

亀茲は、中央アジアのオアシス都市国家であり、テュルク系の民族も居住していました。亀茲の君主もヤブグの称号を用いていたことが知られています。

ヤブグは、テュルク系国家の政治・軍事において重要な役割を果たした称号であり、その地位は可汗に次ぐものでした。ヤブグは、国家の重要な地域を統治し、軍事的な指揮権を持ち、外交交渉も担当しました。ヤブグの存在は、テュルク系国家の政治構造を理解する上で重要な要素となっています。

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