ヤブタビラコ属

ヤブタビラコ属（Lapsanastrum）

ヤブタビラコ属は、キク科に分類される小型の草本のグループです。以前はヤブタビラコ属に分類されていたものが、近年の研究により再分類されました。

特徴

形態: 小型の一年草または越年草で、ロゼット状に広がる根生葉が特徴です。葉身は羽状に深く切れ込んでいます。
花: 小さな頭花をつけます。総苞は円筒形で、総苞片は2列に並びます。外側の列は小さく、内側の列は5〜8枚の総苞片から構成されています。頭花を構成する小花はすべて黄色い舌状花で、花弁の先端には5つの歯があります。
果実: 痩果は長楕円形で、やや扁平です。表面には不均一な10〜13本の肋があり、先端は嘴状になっています。冠毛はありません。
染色体数: 基本数は x = 8 です。

分布と種

ヤブタビラコ属は、北東アジアに4種が分布しており、日本には以下の2種が自生しています。

コオニタビラコ ( Lapsanastrum apogonioides )
ヤブタビラコ ( Lapsanastrum humile )

分類

ヤブタビラコ属に分類される植物は、かつてはタンポポ亜科の Lapsana 属（ナタネタビラコ属）に含められていました。痩果に冠毛がないことが重要な特徴とされていましたが、近年の研究により、独立した属として再分類されました。かつて Lapsana 属にヤブタビラコの和名が用いられていましたが、この種がヤブタビラコ属に移されたため、Lapsana 属の和名はナタネタビラコ属に変更されました。ナタネタビラコ属の植物は日本には自生していませんが、ヨーロッパ原産のナタネタビラコ ( L. communis ) が近年日本に帰化しているのが確認されています。

ヤブタビラコ属は、オニタビラコ属 ( Yungia ) と近縁であると考えられています。ヤブタビラコ属とオニタビラコ属の種間では雑種がよく見つかることから、以前から近縁性が指摘されていました。両属を同一の属にまとめるべきだという説もあります。

参考文献

大橋広好 他編: 『改訂新版 日本の野生植物 5 ヒルガオ科～スイカズラ科』. 平凡社, 2017.
佐竹義輔, 大井次三郎, 北村四郎 他: 『日本の野生植物 草本III 合弁花類』. 平凡社, 1981.

もう一度検索