ヤブレガサウラボシ科

ヤブレガサウラボシ科について

ヤブレガサウラボシ科（Dipteridaceae）は、アジアから太平洋地域に広がる大葉シダ植物のグループであり、主にヤブレガサウラボシ属（Dipteris）とスジヒトツバ属（Cheiropleuria）の2つの属が含まれています。これら2属はそれぞれ異なる特徴を持っているものの、近縁であることが確認されています。

特徴

ヤブレガサウラボシ属とスジヒトツバ属にはかなり異なる特性が見られますが、共通して以下のような特徴があります。他のシダ植物と同様に、地面に生える地上性のシダです。根茎は長く横に伸び、表面には毛のような鱗片が存在することがあります。また、管状の中心柱や原生中心柱を持ち、その形は背と腹で異なることが特徴です。

葉に関しては、胞子をつける葉と栄養を供給する葉が区別される場合とそうでない場合があり、葉柄では基部に1本の維管束があり、先端では多くの小さな束に分かれています。葉身は基本的には一枚ですが、複数の裂片を持つことが多く、葉脈は網目状で隣接する小さな脈も見られます。胞子嚢は部分的に散在するタイプや、裏面全体に出るタイプがあり、共通して包膜はありません。胞子を含む胞子嚢には、64個または128個の胞子が存在します。

分布と種数

ヤブレガサウラボシ科は、アジアを中心にして、オーストラリアまで約10種が分布しています。その中でヤブレガサウラボシ属には約8種があり、一方スジヒトツバ属にはアジアに2種が確認されています。日本国内では、これらの属からそれぞれ1種ずつが見つかっています。

分類と系統

ヤブレガサウラボシ科は長い間、独立した科として扱われてきましたが、最近ではこの2属は遺伝的に近いとされており、共通の系統を持つことが証明されています。過去にはウラボシ科やオシダ科との関係が示唆されたこともありましたが、現在はその考え方は否定されています。

分子系統解析の結果に基づくと、スジヒトツバ科と同系統であることが示されています。さらに、マニトア科との関連性が指摘されており、これらのグループがウラジロ目（Gleicheniales）を形成していることが知られています。

歴史

ヤブレガサウラボシ属は現存する種が限られた小さな群である一方で、その化石は中生代三畳紀後半から見つかっています。この時期からジュラ紀にかけては非常に広範囲に分布しており、属内の多様性も高かったと言われています。一方でスジヒトツバ属は、以前は単一種とされていましたが、近年では異なる遺伝的背景が確認され、分離されました。形態的にはシンプルながら、ヤブレガサウラボシと近縁であり、その歴史の長さを考慮すると、その形態が長い時間をかけて進化してきたことが示唆されています。

日本の種

日本には以下の種が生息しています。

• - Dipteris（ヤブレガサウラボシ属）

- D. conjugata（ヤブレガサウラボシ）

• - Cheiropleuria（スジヒトツバ属）

- C. integrifolia（スジヒトツバ）

このように、ヤブレガサウラボシ科はアジア地域を中心に分布し、多様な特性を示す興味深い植物群です。

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