ヤマタイカ

漫画『ヤマタイカ』の概要

『ヤマタイカ』は、星野之宣による伝奇・歴史を背景に持つSF漫画であり、1983年に『ヤングジャンプ』で連載された『ヤマトの火』の新たな解釈として再出発しました。この作品は『月刊コミックトム』にて1986年から1991年まで連載され、潮出版社からは全6巻の単行本が刊行されました。また、1997年には潮ビジュアル文庫として5巻が発行され、2006年からは光文社からシリーズ「レジェンド オブ ヤマタイカ」が登場しています。

本作のストーリーは、日本の人々の起源についてのフィクションの展開を中心にしています。火の民族と日の民族という二つの勢力が、西暦300年ごろに対立したとされ、九州を拠点とする火の民族の邪馬台国は、日の民族によって追いやられます。その後、日の民族が大和国へと遷都し、ヤマト王権が成立するという設定です。なお、これらの描写は作者の創作に基づいており、実際の研究成果に依拠したものではありません。

本作は、超能力を駆使する主人公や独自の設定から、SF的な要素を多分に含んでいます。一般的な知名度は高くないものの、星野之宣の代表作のひとつとして位置づけられており、1992年には第23回星雲賞コミック部門を受賞するなど、評価を得ています。

あらすじ

東遷編

物語は、20世紀後半の沖縄県久高島から始まります。ここに、1700年の時を超えて卑弥呼の後継者が現れます。「オモイマツカネ」と呼ばれる銅鐸の力によって超能力を増幅させ、火の民族の祭り「ヤマタイカ」を実現しようと動き始めます。しかし、日本中の火山を巻き込んだ混乱を容認しない日の民族の法力僧四天王も立ち向かってきます。この二つの民族の対立は、九州から出雲、伊勢だと各地に展開し、最終的には火の民族が奈良の大仏を通じて強大な力を得ることに成功します。

東征編

続いて火の民族は、復活した戦艦「大和」を祭りの依代として利用します。戦艦は沖縄の在日米軍基地を攻撃しつつ東進し、その振る舞いが火の民族を鼓舞し「ヤマタイカ」を開催する運びとなります。火山の噴火による混乱の中、火の民族は北へと進撃し、最終的には東京を目指す一大イベントとなります。一方で、日の民族も対抗策を講じ、激しい戦闘が繰り広げられますが、火の民族は次々と新しい仲間を迎え入れ、勢力を拡大させていきます。

決戦の場では、四天王が神子に立ち向かい、壮絶な戦いが繰り広げられます。火の民族が勝利を収めるものの、四天王との相打ちによって主人公は命を落とすことになります。富士山の噴火などを経て、物語は国家秩序の崩壊と、再生へとの流れに向かっていきます。最後に、続く祭りと狂乱の様子が描かれ、物語は次の「ヤマタイカ」の予感とともに締めくくられます。

登場人物

登場人物たちは火の民族や日の民族に分かれ、様々な背景を持つキャラクターが展開されます。例えば、主人公である神子は、古代の卑弥呼の意志を引き継ぎ、祭りの復活に奔走します。他にも、神子の母である波子や、神子をサポートする岳彦、さらには敵として立ちはだかる四天王たちが物語の中で重要な役割を果たします。

まとめ

『ヤマタイカ』は、伝説と歴史を交え、現代に再構築された日本の神話的な世界を舞台にした作品です。火の民族と日の民族の抗争を通じて描かれる物語は、時を超えた人々の思いを色濃く映し出しており、単なるSF漫画に留まらない深いテーマ性を持っています。この作品は、読者に強い印象を残す一方で、同時に琉球文化や古代信仰についての考察を促す重要なメッセージを含んでいます。

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