四天王

四天王（してんのう）

四天王は、仏教における重要な神々であり、特に六欲天の第一天、四大王衆天の主として位置付けられています。これらの神々は修行者や仏教徒の信仰を受け、仏法を守護する役割を果たしています。四天王は、東方の持国天、南方の増長天、西方の広目天、北方の多聞天の四神から構成されています。これらの神は、須弥山の中腹に住み、仏法僧を守る使命を持っています。

四天王の概要

• - 持国天（じこくてん）（梵: Dhṛtarāṣṭra）: 東方を守護し、持国天は乾闥婆や毘舎遮を眷属としています。
• - 増長天（ぞうちょうてん）（梵: Virūḍhaka）: 南方を担当し、南贍部洲を守護する神です。彼には鳩槃荼や薜茘多という眷属がいます。
• - 広目天（こうもくてん）（梵: Virūpākṣa）: 西方を守護し、西牛貨洲を担当します。広目天は龍神や富単那の眷属を持ちます。
• - 多聞天（たもんてん）（梵: Vaiśravaṇa）: 北方を守護し、北倶盧洲を支配します。多聞天は毘沙門天とも呼ばれ、夜叉や羅刹といった眷属が存在します。彼は七福神の一員でもあります。

彼らは、須弥山の四大洲（東勝身洲、南贍部洲、西牛貨洲、北倶盧洲）の守護者であり、忉利天に住む帝釈天に仕えています。この世界に住む者は、身長が半由旬、寿命は500歳とされており、その一昼夜は人間世界の50年に相当するという特性を持っています。

日本における信仰

四天王は、日本でも早くから信仰されてきました。『日本書紀』によれば、仏教を巡る争いにおいて聖徳太子が四天王に祈願し、勝利を得たことから、摂津国玉造（現在の大阪市天王寺区）に四天王寺を建立したとされています。この寺院は、四天王の信仰を広める重要な場所となりました。

四天王の像容

四天王の姿は、インドでは貴人の形で表現される一方、日本では甲冑を着用し、武器を持ち、邪鬼を踏みつける姿が一般的です。像は多くの場合、須弥壇の四隅に配置されており、特に東大寺の戒壇院にある四天王像が有名です。

四天王の比喩的な用法

現代においては、特定の分野で特に優れた4人の人物を「四天王」という形で表現することもあります。このような使い方には、義経四天王、徳川四天王、長船四天王、ものまね四天王などが含まれます。各グループや領域において重要な役割を果たす人物を象徴する言葉として、多く用いられています。

結論

四天王は、仏教における重要な神々として位置づけられ、国や時代を超えて信仰されてきました。日本においてもその存在は深く根付いており、文化や歴史に多大な影響を与えています。

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