ヤマトグローバルエキスプレス

ヤマトグローバルエキスプレス株式会社

ヤマトグローバルエキスプレス株式会社（やまとぐろーばるえきすぷれす）は、日本の主要な物流グループであるヤマトホールディングス株式会社の傘下にあった企業です。主に日本国内における航空貨物輸送サービスを専門としていました。本店は東京都港区港南に、本社は同区浜松町に置かれていましたが、グループ内の組織再編の一環として、2021年4月1日をもってヤマト運輸株式会社に吸収合併され、法人としての活動を終えました。

この会社は、ヤマト運輸が従来手掛けていた国内航空貨物部門、すなわちエキスプレス事業本部の業務一切を承継する形で設立されました。これにより、航空機を利用した迅速な輸送サービスに特化した事業運営を行っていました。

事業内容と取扱商品

ヤマトグローバルエキスプレスの事業の核は、スピードが求められる国内貨物輸送、特に航空便を活用したサービスにありました。ヤマト運輸から引き継いだ多様なエキスプレス関連商品を提供していました。

代表的なサービスとしては、全国へ原則翌日中に配達する「航空便」がありました。また、朝に収穫・水揚げされた生鮮品などを当日中に届けられる「生鮮時間便」や、夜間（最大24時まで）に集荷し、翌日午前中に配達する「航空便スーパーナイトサービス」といった時間指定や即日配達に対応したサービスも手掛けていました。さらに、深夜のフライト便を利用することで、特定区間（例：北海道・関東間、九州・関東間）での早期配達を可能にする「航空便スーパーエキスプレス」や、全国58都市間での当日配達を提供する「時間便」なども提供していました。

「S-PAT9時便」や「S-PAT10時便」といったサービスにおいては、エキスプレスネットワークという組織が販売主体でしたが、実際の集荷や配達業務はヤマトグローバルエキスプレスの事業所が担っていました。これは、ヤマト運輸自体はエキスプレスネットワークの販売を行う会社でしたが、ネットワークの参加企業ではなかったためです。

なお、ヤマトグローバルエキスプレスは、分社化以前から一部地域においては、宅急便やクロネコメール便といった一般的な宅急便商品も取り扱っていました。これは、2003年3月まで宅急便事業がヤマト運輸本体の直接の管轄外であった四国四県および大分県、宮崎県、鹿児島県を除く地域に該当します。

事業所とコード体系

ヤマトグローバルエキスプレスの事業所ネットワークは、設立時にヤマト運輸のエキスプレス事業本部からそのまま引き継がれたものです。これらの事業所には、独自の社内コード体系が付与されていました。

事業所コードは複数の桁で構成されており、先頭の1桁目は「4」に定められていました。これは、分社化前からエキスプレス事業部門で使われていた識別コードであり、宅急便店所を示す「0」やメール便店所を示す「3」とは区別されていました。

続く2桁目と3桁目は、担当する支社または主管支店を示すコードでした。例えば、「09」は札幌支社（北海道全域の航空貨物を管轄）、「19」は東北支社（東北全域）、「29」は東京支社（羽田空港を拠点に関東全域・信越の一部を管轄）、「49」は中部支社（愛知県名古屋市中川区に拠点を置き、北陸・東海全域を管轄）、「59」は関西支社（大阪府豊中市に拠点を置き、関西2府4県全域を管轄）などが主要なコードでした。また、「79」番台は岡山・広島・山陰・山口の一部地域の営業所群、「89」番台は高松・徳島・高知・松山地域の営業所群、「99」は九州支社（福岡市博多区に拠点を置き、九州7県全域を管轄。ただし沖縄は沖縄ヤマト運輸が担当）を示していました。

4桁目以降は個別の営業所コードが付番されていましたが、宅急便やメール便の事業所コードのように固定されたものではありませんでした。

使用車両

ヤマトグローバルエキスプレスの業務で使用されていた車両は、主にヤマト運輸時代から引き続き使用されていたものです。これらの車両は、車体の表記を「ヤマトグローバルエキスプレス」に変更して運用されていました。

沿革

ヤマトグローバルエキスプレスの沿革は、以下の主要な出来事によって形作られました。

2007年7月19日: 法人として設立されました。これは、ヤマトグループにおける航空貨物事業の専門子会社化を目指す動きの一環でした。
2008年4月1日: ヤマト運輸株式会社のエキスプレス事業本部が担っていた国内航空貨物関連業務の一切を承継し、本格的な事業活動を開始しました。
* 2021年4月1日: ヤマトホールディングス主導のグループ経営体制再編に伴い、ヤマト運輸株式会社に簡易吸収合併されました。これにより、ヤマトグローバルエキスプレスは解散し、その事業機能はヤマト運輸本体に統合されました。

ヤマトグローバルエキスプレスは、設立から約13年間にわたり、国内の迅速な物流サービス、特に航空貨物輸送において重要な役割を果たしました。その企業活動は終了しましたが、培われたノウハウや事業内容は、現在のヤマト運輸のサービス体系の中に引き継がれています。

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