ヤマハ・ジール

ヤマハ・ジール：街乗りを快適にした250ccネイキッド

1991年から1999年まで、ヤマハ発動機が製造販売していた250ccバイク、ジール(ZEAL)。その魅力は、取り回しの容易さと個性的なデザインにありました。

女性ライダーや初心者にも優しい設計

ジールは、低重心設計と735mmという低めのシート高により、足つき性が抜群。女性ライダーやバイク初心者でも安心して運転できる点が、高い支持を得た理由の一つです。斬新なデザインも相まって、街中でひときわ目を引く存在感を放っていました。

個性的なデザインと実用的な装備

「ジャンプするイルカ」をイメージしたと言われる、独創的なフォルムは、1989年の東京モーターショーで発表されたコンセプトモデル「モルフォ」からの影響を受けています。外観デザインはモルフォを彷彿とさせますが、メカニズムは全く異なります。

実用面にも配慮が行き届いています。ハンドルとタンクキャップの間には小物入れがあり、小銭や高速道路のチケットなどを収納可能。タンデムシート下には、A4サイズの雑誌も入る専用バッグが備え付けられていました。シートキーはタンデムシートのみを開ける仕様となっており、普段使いの利便性を高めています。また、ヘルメットホルダーはシートキーと一体化されており、軽量化にも貢献しています。

FZR250R譲りのエンジンと独自のチューニング

エンジンは、FZR250Rの250cc直列4気筒エンジンをベースに、中低速重視のセッティングに変更。最高出力は40psに抑えられ、当時の自主規制にも対応していました。FZR250Rのような高回転型ではなく、街乗りでの扱いやすさを優先した設計です。また、マフラーは4-2-2レイアウトの右2本出しで、EXUPは採用されていません。

6速ミッションのオーバードライブ機能

6速ギアはオーバードライブとして機能し、6速で走行中はタコメーターパネルのオーバードライブランプが点灯します。このランプは、ニュートラルランプと同じ緑色です。

マイナーチェンジと輸出モデル

1992年にはマイナーチェンジが行われ、カラーリングや一部パーツに変更が加えられました。輸出モデルとしてFZX250・ZEALも存在しましたが、これはデュアルヘッドライトのビキニカウルを備えた仕様で、日本国内への逆輸入は行われていません。

ジールの弱点

ジールには、サイレンサーの錆びやすさや、キャブレター内のゴムパーツの劣化への脆弱性といった弱点も指摘されています。これらの点は、メンテナンス時に注意が必要です。

まとめ

ジールは、その扱いやすさと個性的なデザインで多くのライダーを魅了したバイクです。街乗りを快適に楽しむための工夫が随所に盛り込まれた、ヤマハの傑作と言えるでしょう。現在では生産終了していますが、中古車市場でも根強い人気を誇っています。独特のフォルムと、扱いやすいエンジンは、多くのライダーに忘れられない思い出を残したと言えるでしょう。独特のスタイルと、実用性を両立させた、ヤマハの個性あふれる一台と言えるでしょう。

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