ヤマハ・FZ1

ヤマハFZ1/FZS1000FAZER：1000ccクラスのスポーツバイクの系譜

ヤマハ発動機は、2001年から2016年にかけて、1000ccクラスの大型オートバイFZ1/FZS1000FAZERを製造・販売しました。このモデルは、欧州、南アフリカ、オセアニア、北米といった世界各国で人気を博した、パワフルでスタイリッシュなマシンです。

モデル名の変遷とグローバル展開

初期のモデル（2001～2005年）では、北米市場向けにFZ1、それ以外の地域ではFZS1000FAZERという名称が用いられていました。しかし、2006年のモデルチェンジを機に、世界中でFZ1という名称に統一されました。さらに、このモデルチェンジで、ハーフカウル付きのFZ1 Fazerと、ネイキッドタイプのFZ1の2つのバリエーションが追加されました。この多様なラインナップが、世界中のライダーのニーズに応えていました。

パワフルなエンジンと洗練された車体

FZ1/FZS1000FAZERの心臓部となるのは、998ccの水冷直列4気筒エンジンです。これは、ヤマハのスーパーバイクYZF-R1のエンジンをベースに、中低速トルクを重視して改良されたものです。特に初期モデルでは、YZF-R1のエンジンをベースにクランクマスの質量を10％増量し、扱いやすいエンジン特性を実現していました。また、排気系のEXUPシステムにより、フラットなトルク特性が得られています。

車体も、高剛性と柔軟性を両立させた設計がなされています。初期モデルでは、太い鋼管ダブルクレードルフレームとロングストロークのサスペンションの組み合わせにより、しなやかな乗り心地が実現されていました。一方、2006年モデル以降は、FZ6からのフィードバックを活かした、より剛性の高いフレームを採用。さらに、YZR-M1で実績のある倒立フロントフォークや大型のCFダイキャストスイングアームを装備し、スーパースポーツバイクに匹敵する高い走行性能を実現しました。

各国仕様の違い

地域によって、灯火類のレギュレーションが異なるため、いくつかの仕様の違いがありました。例えば、北米仕様のモデルでは、フロントフォークと車体後部にリフレクターが追加され、ポジションランプが廃止、フロントウインカーがポジションランプを兼ねる仕様となっていました。また、速度計の表示も、km/hとmph表示のモデルが存在しました。

日本国内における販売

日本国内では、当初は並行輸入車として販売されていましたが、2008年には正式な日本仕様モデルが発売されました。環境規制に対応するため、最高出力と最大トルクは変更されています。その後、2011年には、ワイズギア製のオプションパーツを装備したフルカウル仕様のFZ1 Fazer GTも発売されましたが、2016年には全てのモデルが日本市場から撤退しました。

モデルバリエーションと歴史

FZ1/FZS1000FAZERは、長きにわたりモデルチェンジを繰り返しながら進化を遂げてきました。2001年から2005年までの初代モデル、そして2006年以降の2代目モデルでは、エンジン、車体、装備などが大きく変更されています。各モデルでは、カラーリング変更やマイナーチェンジも実施されており、進化の過程を垣間見ることができます。

まとめ

FZ1/FZS1000FAZERは、パワフルなエンジンと洗練されたデザイン、そして高い走行性能を兼ね備えた、魅力的なオートバイでした。世界各国で販売され、多くのライダーに愛されたこのモデルは、ヤマハの歴史に名を残す一台と言えるでしょう。その高い性能と個性的なスタイリングは、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

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