ヤマハ・OX66

ヤマハ・OX66：高性能なV型6気筒エンジン

ヤマハ・OX66は1984年12月にヤマハ発動機が発表したフォーミュラ2（F2）用のレシプロエンジンで、バンク角75度のV型6気筒、5バルブの設計が特徴です。このエンジンの開発は1980年代初頭に始まり、目指されたのは、高性能、イージー・メンテナンス、軽量コンパクト、広いパワーバンドを実現することでした。F2カテゴリでの実戦配備を前提にしたプロジェクトであり、競合他社であるホンダやBMWに対して優位性を持たせることが狙いとされました。

開発背景とコンセプト

OX66の開発は、1985年からF1直下のカテゴリーがフォーミュラ3000に変更されることに伴い、日本自動車連盟（JAF）がF2を4年間継続する方針を発表したことを背景にしています。このため、ヤマハはOX66の開発を市場供給する決断を下しました。特にホンダのV6エンジン（RA264E）が高出力を誇る中、ヤマハは技術的優位を追求しました。

性能と主要諸元

OX66は、V型6気筒エンジンの搭載による高出力を実現しています。以下が主なスペックです。

• - 型式: V型6気筒、DOHC5バルブ
• - 排気量: 1995㏄
• - 内径 x 行程: 85.07 x 58.5mm
• - 最大出力: 330ps (11,000rpm)
• - 最大トルク: 23.0kgm (9,000rpm)
• - 重量: 105kg
• - 燃料供給方式: 電子制御燃料噴射

シリンダーブロックとベルト駆動

OX66のシリンダーブロックは、コンパクトさを重視して設計されています。特にバンク角75度の設定は、体積効率向上に寄与しています。軽量化にはアルミ鋳造が採用され、カム駆動もベルトを用いることでイージーメンテナンスを実現しています。このベルト駆動は、複雑なギア調整を必要とせず、構造をシンプルに保っています。

エンジン制御と燃料供給

OX66は燃料供給装置とイグニッションに電子制御を採用し、正確な燃料噴射と点火タイミングを実現していました。ただし、1986年からはボッシュの機械式燃料噴射システムに変更されています。これは、従来よりもメンテナンスが容易であるためです。

5バルブ技術の採用

OX66は1気筒あたり3つの吸気バルブと2つの排気バルブを組み合わせた5バルブ構成を取り入れています。これにより、広いパフォーマンスレンジを持ちながら、高回転域でも安定した燃焼を実現しています。

レース参戦歴

OX66は、発表当初から全日本F2選手権や富士グランチャンピオンレース（GC）に参戦。特に1986年には、複数のチームに供給され、優勝するドライバーやチームも現れました。レース主催者との交渉やメンテナンス体制の整備を通じて、OX66は競技の枠を超えた信頼性を示しました。このエンジンは、その驚異的なパフォーマンスから多くのレースファンを魅了し、ヤマハのレーシングエンジンの歴史に名を刻むこととなりました。

まとめ

ヤマハ・OX66は、その先進的な設計と高性能をもって、F2カテゴリーの競争力を高める役割を果たしました。このエンジンの開発は、自動車技術の進歩を象徴する事例となり、今なお多くのエンジニアやファンにとって興味深い存在です。

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