ヤマハ・VMAX

ヤマハVMAX：伝説のモンスターバイク

ヤマハ発動機が製造販売する大型オートバイ、VMAX。その圧倒的なパワーと独特のデザインで、長年にわたって多くのライダーを魅了し続けている名車です。本稿では、VMAXの歴史、性能、そして人気の秘密に迫ります。

VMAX1200：1985年、伝説の幕開け

1985年に登場した初代VMAX1200（VMX12）は、1200ccのV型4気筒エンジンを搭載したモンスターマシンでした。ネイキッドタイプともアメリカンタイプとも異なる独特のスタイルは、GKダイナミックスによるデザインによるもので、筋肉質な車体とアグレッシブなフォルムは、まさにドラッグレースからインスパイアされたかのようです。
特徴的なタンクカバー（燃料タンクはシート下）に内蔵された大容量エアクリーナー、そして両サイドに配置されたダミーエアダクトなど、デザインの細部に至るまでこだわりが感じられます。

最大の特徴は、6000回転以上でツインキャブレター化する「Vブーストシステム」です。このシステムによって、最高出力145PS/9000rpm、最大トルク12.4kgf・m/7500rpmという驚異的なパワーを発揮しました。6500回転からの強烈な加速は、まさに「重量級の車体と驚異の加速力」を体現していました。しかし、その強烈な加速はライダーの技量も要求するもので、テストライダーがフル加速を断念したという逸話も残っています。

海外では1985年から輸出されており、日本への逆輸入車も多数存在します。カナダ仕様、アメリカ仕様、カリフォルニア仕様（ブローバイガス還元装置付き）、ヨーロッパ仕様など、地域や年式によって仕様が異なり、カラーリングや細部のデザインも多岐に渡ります。1990年には日本仕様（3UF）が販売開始され、Vブーストシステムは搭載されませんでしたが、低中速域でのトルクを重視したセッティングが施されていました。

1985年からの初期型は前後5本スポークのキャストホイールでしたが、1986年にはリアホイールがディッシュタイプに変更され、以降もマイナーチェンジを繰り返し、フロントフォークの大容量化、ブレーキの大径化、排ガス規制への対応など、改良が重ねられました。2007年にファイナルエディションが生産終了するまでに、93,196台が生産されました。

VMAX1700：2008年、新たな伝説へ

2008年、23年ぶりのフルモデルチェンジによって登場した新型VMAX(RP22J)は、1700ccの大排気量V型4気筒エンジンを搭載し、YZF-R1の技術を応用したオールアルミフレームを採用するなど、初代モデルとは大きく異なる進化を遂げました。

初代モデル最大の特徴であったVブーストシステムは廃止されましたが、代わりにYCC-I（ヤマハチップコントロールインテーク）システムを搭載し、吸気系統のファンネル長さを可変させることで、200PSという圧倒的なパワーを実現しました。

初代モデルの弱点とされた車体剛性も大幅に向上し、52mmのフロントフォークやABSを標準装備。しかし、その分重量は310kgと増加し、価格も高額なものとなりました。

日本仕様は2009年発売開始。国外仕様より出力が低減されていますが、それでも151PSを誇り、当時としては国内最大出力のモデルでした。販売はVMAXアドバイザーの在籍する正規販売店（YSP）のみで、新車は在庫として店頭に並ぶことはなく、ブランドイメージ維持に配慮した販売戦略がとられました。2017年に生産終了となるまで、多くのライダーを魅了し続けました。

VMAX：時代を超える魅力

VMAXは、単なるオートバイではなく、伝説的な存在です。その圧倒的なパワー、独特のデザイン、そして革新的な技術は、多くのライダーに憧れと興奮を与え続けています。初代モデルのVブーストシステムによる強烈な加速、そして新型モデルの洗練された走りとスタイリングは、時代を超えて愛される理由となっています。これからも、VMAXは多くのバイクファンにとって、特別な存在であり続けるでしょう。

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