ブローバイガス

ブローバイガスとは

ブローバイガスとは、内燃機関において、ピストンとシリンダー壁の間の微細な隙間から漏れ出す気体のことを指します。この現象は、燃焼行程における高圧の燃焼ガスや、未燃焼の混合気が、ピストンリングのシール性能を超えてクランクケース内へと漏れ出すことで発生します。

ブローバイガスの成分

ブローバイガスは、主に以下の成分を含んでいます。

未燃焼の燃料
燃焼後の排気ガス
オイルミスト
水分

これらの成分は、大気汚染の原因となるだけでなく、エンジンオイルの劣化を促進する要因にもなります。

ブローバイガスの処理

かつては、ブローバイガスはブリーザーパイプを通じて大気中に放出されていました。しかし、大気汚染防止の観点から、現在ではクランクケースを密閉し、ブローバイガスを吸気管へと還流させるシステムが一般的です。このシステムにより、ブローバイガスは再び燃焼室へと送られ、再燃焼されます。

ブローバイガス還流システムの仕組み

ブローバイガス還流システムは、主に以下の要素で構成されています。

1. クランクケース: ブローバイガスが溜まる場所。
2. PCVバルブ（Positive Crankcase Ventilation valve）: クランクケース内の圧力を調整し、ブローバイガスの流量を制御するバルブ。
3. 吸気管: ブローバイガスが還流される場所。
4. ホース: 各要素を接続する。

PCVバルブは、エンジンの負荷状態に応じて開閉し、適切な量のブローバイガスを吸気管へと送ります。これにより、クランクケース内の圧力を一定に保ち、オイル漏れなどのトラブルを防ぐことができます。

法規制

公道を走行する自動車においては、ブローバイガスを大気中に放出することは法律で禁止されています。これは、ブローバイガスに含まれる有害物質による大気汚染を防止するためです。

その他の機器への応用

同様のクランク室への漏洩は、空調用や空気・ガス用の圧縮機でも生じ、これも「ブローバイガス」と呼ばれます。密閉式クランクケースからブローバイガスを吸気管に還流させることが多いですが、無給油式空気圧縮機に限っては漏洩が環境に影響しないことから、開放型のクランクケースで大気開放とすることもあります。

まとめ

ブローバイガスは、内燃機関における構造上避けられない現象であり、適切な処理が不可欠です。ブローバイガス還流システムは、大気汚染を防止し、エンジンの性能を維持するために重要な役割を果たしています。

関連項目

クランクケースブリーザー
自動車排出ガス規制

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