ヤマハ・YZF750SP

ヤマハYZF750SP：スーパーバイクレギュレーションに挑んだ限定車

ヤマハ発動機が1993年に世に送り出したYZF750SPは、749ccの大排気量を誇る4ストロークエンジンを搭載した、スーパーバイク世界選手権参戦のためのホモロゲーションモデルとして開発された大型自動二輪車です。同社のFZRシリーズとは異なるYZFという車名で発売された初めての市販車でもあり、その希少性と高い性能から、多くのバイク愛好家から高い評価を得ています。

誕生の背景と開発

YZF750SPは、スーパーバイク世界選手権のレギュレーションに準拠するために、徹底的な軽量化と高出力化を追求して開発されました。そのため、フレームからエンジン、足回りまで、徹底的に見直された、全く新しい設計となっています。市販車ながら、レースで培われた技術が惜しみなく投入されている点が大きな特徴です。

モデル概要と特徴

1993年2月に発売された初期モデル(4JD1)は、限定350台という希少性に加え、FCRDキャブレターなど、レースで実績のある高性能な部品を標準装備していました。販売価格は125万円と、当時の大型バイクとしては高価でしたが、その性能と限定車であるという希少価値から、多くのライダーから熱い視線を浴びることとなりました。

1995年1月にはマイナーチェンジされたモデル(4JD2)が発売されました。このモデルでは、リアサスペンションにオーリンズ製を採用し、全長やリンク比の改良、シートフレームの着脱式化、スイングアームピボットの可変式化など、更なる性能向上とメンテナンス性の向上が図られています。さらに、ラジエーターの大型化も実施され、冷却性能の向上も実現しました。価格は130万円に上昇しましたが、限定500台という生産数からも、その人気ぶりが伺えます。

日本国外市場では、2人乗り仕様のYZF750Rと併売されましたが、日本国内では限定車として販売された点が興味深いところです。このことは、YZF750SPが純粋なレーシングスピリットを追求したモデルであることを示しています。

主要諸元

まとめ

YZF750SPは、スーパーバイク世界選手権参戦を背景に、レース技術を惜しみなく投入した、まさにレーシングマシンと言える一台です。限定生産という希少性も相まって、高い人気を誇り、現在ではコレクターアイテムとして高い価値を持つ、伝説的なバイクと言えるでしょう。その高い性能と歴史的価値から、中古市場でも高い取引価格で取引されていることが多いです。日本のバイク史に燦然と輝く、名車の一台と言えます。

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