アルハンゲリスク

アルハンゲリスクの概要

アルハンゲリスク（Архангельск）は、ロシアの北西部に位置する都市で、2021年時点での人口は約30万人です。白海に注ぐ北ドヴィナ川の河口近くに存在し、アルハンゲリスク州の州都として重要な役割を果たしています。この町の名は「大天使の町」という意味を持ち、戦う大天使ミカエルにちなんで名付けられました。17世紀末、ピョートル1世によって海軍の軍事基地として開発され、以来歴史的な変遷を辿ってきました。

歴史的背景

この地域は古くからヴァイキングに知られており、12世紀にはノヴゴロド人が北ドヴィナ川の入り江に大天使ミカエル修道院を建立しました。ノヴゴロドから入植した人々はポモールと呼ばれ、白海を通じて北極海と交易を行いました。1478年にはモスクワ大公国に編入され、商業の中心地は当初アルハンゲリスクより上流の町ホルモゴルイでした。

1555年、イヴァン4世（雷帝）は白海に上陸したイギリス商人に特権を与え、以降北ドヴィナ川には毎年イギリスの船が訪れるようになりました。その後オランダ商人も参入し、1584年にイヴァン4世がホルモゴルイの下流に新たな町を建設しました。その町は初めはノヴォ・ホルモゴルイと呼ばれましたが、1613年にはアルハンゲリスクと改名されました。

1700年代には、ピョートル1世によって造船所が建設されていますが、サンクトペテルブルクの開港によって外国貿易の中心が移動するとアルハンゲリスクの重要度は徐々に低下していきました。それでも19世紀には鉄道が開通し、木材の輸出港として再び活況を呈しました。

第二次世界大戦と冷戦

アルハンゲリスクはロシア内戦期に反革命勢力の拠点となり、その後の第二次世界大戦では連合国側の補給中継基地として機能しました。戦後は核実験の場として利用され、外港のセヴェロドヴィンスクでは原子力潜水艦の製造が行われました。このような軍事的な重要性から、1980年代までアルハンゲリスクは閉鎖都市として一般市民や外国人の立ち入りが禁止されていました。

現在のアルハンゲリスク

現在、アルハンゲリスクは砕氷船の発展により、四季を通じて利用できる港湾都市として成長しています。木材加工や漁業が主な産業であり、地域経済を支えています。教育面では、アルハンゲリスク国立工科大学やロモノーソフ名称北方連邦大学など高等教育機関が存在し、国際的な協力関係も築かれています。

交通と友好都市

アルハンゲリスクの交通網は年々発展しており、空の便ではアルハンゲリスク・タラギ空港が主要都市と連絡しています。過去には世界最北の路面電車であるアルハンゲリスク市電が運行されていましたが、現在は姿を消しました。友好都市としては、アメリカのポートランドやノルウェーのヴァードーなど多くの国と交流を持っています。

アルハンゲリスクはその歴史と国際的なつながりを通じて、今もなお重要な役割を果たす都市であり、市民たちはその足跡を誇りに思っています。

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