ヤンキー・ステーション

ヤンキー・ステーション

ヤンキー・ステーションは、ベトナム戦争中にアメリカ海軍が南シナ海に設定した作戦海域の名称です。具体的には、北緯16度、東経110度の地点、南ベトナムの海岸から東へ約160キロメートル（100マイル）沖合に位置していました。この海域は、アメリカ海軍の空母機動部隊にとって、重要な遊弋（ゆうよく）地点であり、北ベトナムに対する爆撃作戦（北爆）の出撃拠点として機能しました。

ヤンキー・ステーションの役割

ヤンキー・ステーションは、アメリカ軍による北爆作戦において、航空母艦が作戦行動を行うための中心的な場所でした。特に、「ローリング・サンダー作戦」や「ラインバッカー作戦」などの主要な作戦期間中には、常に2隻から3隻の航空母艦がこの海域で活動していました。1972年には、一時的に6隻もの空母がこの海域に集結し、大規模な作戦を展開しました。

ヤンキー・ステーションに最初に派遣されたのは、空母「キティホーク」（CVA-63）でした。1964年4月、トンキン湾事件が発生する以前に、アメリカ海軍は「キティホーク」をこの海域に派遣し、砲艦外交や航空偵察などの任務に就かせました。この出来事は、アメリカがベトナム戦争への関与を深める中で、ヤンキー・ステーションが重要な役割を担うようになることを示唆していました。

ヤンキー・ステーションの終焉

アメリカ地上兵力がベトナムから撤退した後も、ヤンキー・ステーションには空母が遊弋し続けました。しかし、アメリカ軍のベトナムからの撤退が進むにつれて、ヤンキー・ステーションの役割も徐々に縮小していきました。最終的に、1973年8月5日、ヤンキー・ステーションでの空母の活動は終了し、その役割を終えることになりました。

ヤンキー・ステーションは、ベトナム戦争におけるアメリカ海軍の重要な作戦拠点であり、空母による航空作戦を支えた象徴的な場所でした。この海域での活動は、アメリカ海軍の戦略的な展開と、ベトナム戦争の複雑な歴史を物語る上で、重要な位置を占めています。

関連事項

* ディキシー・ステーション：ヤンキー・ステーションとは対照的に、南爆用に設定された作戦海域。南北戦争において、「ヤンキー」は北軍兵士の、「ディキシー」は南軍兵士の俗称であったことから、この名前が付けられました。ヤンキー・ステーションとディキシー・ステーションは、アメリカ海軍のベトナム戦争における作戦展開を象徴する二つの重要な地点でした。

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