ヤンキー烈風隊

もとはしまさひで氏によって手掛けられた、伝説的な暴走族漫画作品である。

概要

講談社の『月刊少年マガジン』にて、1986年から1993年にかけて連載され、累計発行部数は650万部を突破する人気を博した。本作は多岐にわたるメディアミックス展開を見せ、1989年から1996年にかけて全6作のオリジナルビデオアニメーション（OVA）が制作されたほか、1995年には実写映画も公開されている。また、前作の設定を一部刷新した『新ヤンキー烈風隊』も刊行されているが、こちらは直接的な続編とは位置づけられていない。

物語と「烈風隊」

物語の中心となるのは、かつて東堂力也が結成した関東を拠点とする超硬派暴走族「烈風隊」である。初代総隊長引退後、主人公である門田紋乃丞が二代目総隊長を襲名し、チームを率いる。烈風隊は単なる暴力集団ではなく、男気に生きる硬派な姿勢を重んじ、不当な抗争を仕掛けたり無関係の人間を巻き込むことを固く禁じている一方、売られた喧嘩は徹底的に買うという明確な規律を持つ。隊内には「永遠の押忍」や「契りの儀式」といった独自の儀式も存在し、隊員間の結束は非常に強い。門田紋乃丞は一見飄々としているが、素手の喧嘩では無敵を誇り、不屈の精神と圧倒的な強運で数々の危機を乗り越えていく。彼は烈風隊を深く愛しながらも、敵対する側の男たちにも理解を示し、不必要に相手を壊滅させるようなことはしないという独自の哲学を持つ。RX-7のエンジンを積んだスバル360を愛車とする。

主要登場人物

- 門田紋乃丞（もんだもんのじょう）：烈風隊二代目総隊長。型破りながら高い学力と男気を持つ主人公。極度の下戸。
- 花岡竜二（はなおかりゅうじ）：門田の弟分で、烈風隊親衛部長。関東最大の暴力団・花岡連合会長の息子。門田との出会いを経て成長し、後に花岡連合を継承。
- 恋沼真梨（こいぬままり）：門田の恋人。気の強いスケ番だが、門田には一途。喧嘩もでき洞察力に優れる。
- 田嶋鉄（たじまてつ）：門田の友人。「卍の鉄」。小心者だが情報収集能力が高く、烈風隊をサポート。実家は自動車修理工場。

烈風隊を支える幹部には、最強の武闘派・白沢儀一（統制部長）、知的なご意見番・田村伝八（幹事長）、喧嘩っ早いムードメーカー・正木伸二郎（特攻隊長）からなる「鬼の三人衆」がいる。彼らは門田を補佐し、チームを支える重要な存在である。

敵対するチーム・組織

物語では、烈風隊の「男気」とは異なる理念を持つ様々なチームや組織が登場し、激しい抗争が繰り広げられる。

- ブラック・ツェッペリン：関東最大規模の暴走族。走り屋集団としての色が濃い。
- 菊華連合：K県の超硬派暴走族。初代総長・岩倉猛は引退後ヤクザとなる。
- 殺戮同盟：S県の連合チーム。総裁の国木田晴臣は剣術の達人。東京進出を目論む。
- 遠州血゛獄一家：静岡県全域を縄張りとする統一チーム。亡き総長・加瀬建城の妹である加瀬美鈴などが中心。関東進出を狙い烈風隊と衝突。
- 関東花岡連合：関東最大の広域暴力団。竜二の実家であり、物語後半の重要な舞台となる。会長・花岡虎造など、個性的な面々が登場。
- 黒豹組：大阪の凶悪暴走族。関西の暴力団・U組の実動部隊として、花岡連合との抗争に関連し烈風隊と激突。総長の豹藤魔佐人は極めて危険な男。

これらのチームや組織との抗争を通じて、門田や烈風隊のメンバーたちは、自らの信念や「男」としての生き様を試され、成長していく。単なる暴力描写に終わらず、各キャラクターの内面や人間関係が深く描かれているのが特徴である。

映像化作品

本作はOVA（全6巻）および実写映画（1作）として映像化されている。OVA版は東映ビデオによって制作され、原作エピソードをアニメ化。実写映画版は1995年に公開された。それぞれの作品で異なるキャストが起用され、メディアごとの表現の違いも楽しめる。特にOVA版は複数年にわたり展開された。

『ヤンキー烈風隊』は、極道の世界をも巻き込んだスケールの大きな物語の中で、義理人情、友情、そして男たちのプライドが激しくぶつかり合う様を描き出す青春群像劇である。連載終了から年月を経てもなお、多くのファンに支持される、ヤンキー漫画史における重要な作品の一つと言えるだろう。

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