ユゴーの不思議な発明

『ユゴーの不思議な発明』

『ユゴーの不思議な発明』は、アメリカの作家ブライアン・セルズニックによる小説で、2007年にハードカバー版が、翌2008年にはペーパーバック版が発表されました。日本語訳版はアスペクトから金原瑞人の手により、同年にリリースされています。この作品は、1930年代のパリを舞台に、孤児の少年ユゴーの冒険を描いています。

あらすじ

物語は、孤児のユゴー・キャブレが父の遺したからくり人形とともに、リヨン駅の時計台に隠れて暮らしているところから始まります。彼は父親の死後、駅の時計管理をしているおじの元で一人ぼっちの生活を送っていました。時計台での隠れ暮らしは孤独なものでしたが、ある事件をきっかけに、彼はハート型の鍵を持つ少女イザベルと出会います。ユゴーは彼女と共にからくり人形にまつわる謎を解き明かすため、冒険を始めます。

登場人物

ユゴー・キャブレ

この物語の主人公であり、独特の才能を持つ少年です。機械の修理や鍵開けが得意で、秘めたるからくり人形の謎に挑む姿勢は、逞しさを感じさせます。頻繁に盗みを働く必要があるため、駅の鉄道警察から目をつけられることもありますが、彼の勇気と知恵が物語を引き立てます。

イザベル

ユゴーの心強い仲間であり、彼の冒険に欠かせない存在です。彼女はからくり人形を動かすためのハート型の鍵を持っており、城のような彼女の好奇心が共鳴します。両親を幼い頃に失った彼女は、義父母に育てられており、ロマンチストとしての一面も魅力的です。

パパ・ジョルジュとママ・ジャンヌ

イザベルの義父と義母であり、ジョルジュは駅でおもちゃ屋を経営しています。彼はユゴーのからくり人形についての秘密を知る人物でもあります。

ルネ・タバール

映画監督のジョルジュ・メリエスに熱狂している大学教授であり、物語の中で映画への愛情を表現する存在です。

著者とその背景

ブライアン・セルズニックは、アメリカの絵本作家です。彼が本作を書くきっかけとなったのは、スランプに陥った際に出会った絵本作家モーリス・センダックからの助言でした。さらに、ジョルジュ・メリエスについての研究が本書のインスピレーションとなり、実際に存在した人物をモデルに、彼の生涯に基づく物語が展開されます。

賞歴と映画化

本作は数々の賞にノミネートされ、2008年にはコールデコット賞を受賞しています。また、マーティン・スコセッシ監督により2011年に映画化され、多くの観客に感動を与えました。

本書は独特の絵本スタイルで描かれており、ページをめくるごとに冒険が進んでいく様子は、無声映画のような趣を持っています。ユゴーの不思議な物語は、ただの冒険譚にとどまらず、図鑑や映像作品としても楽しむことができる作品となっています。

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