ユスラウメ

ユスラウメ（梅桃、桜桃、山桜桃）

ユスラウメ（学名: Prunus tomentosa）は、バラ科サクラ属の落葉低木で、そのかわいらしい姿から庭木として人気があります。若枝や葉に毛が生えているのが特徴で、サクランボのような赤い実をつけます。

名称の由来

和名「ユスラウメ」は、植物学者の牧野富太郎によると、実を収穫するために木を揺する様子から名付けられたとされています。また、サクラを意味する漢字「櫻」は、元々はユスラウメを指す字でした。地方によっては異なる呼び名があり、茨城県西南地域では「よそらんめ」、福島県相馬地方では「リッサ」と呼ばれています。

特徴

原産地と渡来

ユスラウメは、中国北西部、朝鮮半島、モンゴル高原が原産です。日本へは江戸時代初期に渡来し、主に庭木として栽培されてきました。

樹木

落葉広葉樹の低木で、樹高は3～4メートルに成長します。よく分枝し、樹皮は紫褐色や暗褐色で、成長とともに灰色を帯び、不規則に剥がれます。一年枝や若枝は褐色で、短毛が密生しています。

葉

葉は長さ4～7センチ[[メートル]]の楕円形で、葉脈に沿って凹凸があり、全体に細かい毛が生えています。

花

花期は4月で、葉が開くのと同時か、葉が展開する前に、桜に似た白色または淡紅色の五弁花が葉腋に1つずつ咲きます。

果実

果期は6月で、花後に小さな丸い果実をつけ、赤く熟します。果実はニワウメよりやや大きく、ほぼ球形ですが、モモのようにかすかな縦割れがあり、表面には毛がありません。食用として楽しまれます。

冬芽

冬芽は互生し、暗褐色の先が尖った長楕円形で、6～8枚の芽鱗に包まれています。1か所にほぼ3個つき、短枝には花芽が集中します。葉痕は心形や半円形で、維管束痕が3個あります。

栽培

環境

ユスラウメは強健な性質を持ち、耐寒性、耐暑性ともに優れています。病害虫にも強く、比較的育てやすい植物です。過湿を嫌うため、水はけの良い土に植えることが重要です。日照不足になると株が弱り、実の収穫も減るため、日当たりの良い場所を選びましょう。

肥料

肥料は、3月頃と収穫後に化成肥料を、11月頃には有機肥料の寒肥を施します。

剪定

普段の剪定は特に必要ありませんが、日当たりの悪い枝は枯れやすいので、混み合う枝の間引きや、長く伸びた枝の切り戻しを必要に応じて行います。

増やし方

ユスラウメは、種を採取して実生で増やすことができます。その他、挿し木や接ぎ木でも増やすことが可能です。1年生の接木苗では植え付け後2～3年、実生でも3～4年で実がなり始めます。

人との関わり

食用

ユスラウメの果実は、薄甘く酸味が少ないため、生食のほか、果実酒などにも利用されます。サクランボに似た味が特徴です。

特産品

大分県豊後大野市清川地区では、ユスラウメにモモを接ぎ木して栽培した「クリーンピーチ」が特産品となっています。

季語

ユスラウメは夏の季語、ユスラウメの花は春の季語として、俳句などにも用いられます。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（脚注は省略）

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、177頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、30頁。ISBN 4-522-21557-6。

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