ユディト (ジョルジョーネの絵画)

ジョルジョーネ作『ユディト』は、ルネサンス期の巨匠が1504年に描いた油彩作品です。この絵画は、ジョルジョーネの真作とほぼ確実に認められている数少ない作品の一つで、現在はロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館に所蔵されています。

エルミタージュ美術館は1772年にパリのコレクションからこの作品を購入しましたが、当時はラファエロの作品だと考えられていました。この絵画の主題は、旧約聖書外典の「ユディト記」に登場するユディトとホロフェルネスです。この物語は、多くの画家によって絵画化されてきた人気のテーマでした。

『ユディト』は、長い年月の中で数々の修復作業を受けてきました。19世紀後半には、厚く変色したワニスで覆われ、本来の姿から大きくかけ離れていました。さらに、過去に行われた不適切な修復作業によって、ジョルジョーネの繊細な表現は損なわれていました。しかし、1893年にエルミタージュ美術館の修復家A・シドロフが、もともと板絵だった『ユディト』をキャンバスに移し替えるという重要な作業を行いました。

1967年、『ユディト』の大規模な修復洗浄が決定しました。修復工房の責任者A・V・ブリアンゼフの指揮のもと、修復技術に長けたA・M・マローヴァが作業を担当し、レニングラードとモスクワの専門家が修復作業全体を監督しました。

修復作業は、紫外線による綿密な調査と光学顕微鏡による詳細な解析から始まりました。その結果、草、地面、樹木の部分の損傷が最も激しいことが判明しました。過去の修復時に、必要以上に過剰な塗り直しが行われていたためです。作品を覆っていた厚いワニスは、特殊な溶液で湿らせた綿玉と、顕微鏡下で使用する非常に鋭利なメスを使って、慎重に取り除かれました。修復は1日にわずか2cm²から6cm²ずつという慎重なペースで進められ、ジョルジョーネのオリジナルの状態が蘇るよう努められました。

この緻密な修復作業の結果、『ユディト』は1971年に完成しました。作品は本来の輝きと深みを取り戻し、修復前には見えなかった背景の塔や小山が姿を現しました。この修復により、『ユディト』はジョルジョーネの傑作としての評価をさらに高め、現在ではエルミタージュ美術館の重要なコレクションの一つとなっています。

エルミタージュ美術館公式サイト

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