ユニチカ・フェニックス (バスケットボール)
ユニチカ・フェニックスは、かつて日本の女子バスケットボール界に存在した、屈指の強豪チームです。その歴史は、前身である大日本紡績（日紡）、そしてニチボーの時代に築かれた黄金期に彩られています。
チームは1949年、大阪市東区（現在の大阪市中央区）で大日本紡績本店女子バスケットボール同好会として産声を上げました。創部当初から実力を見せ、全日本実業団選手権で3位という成績を収めます。1954年には、東住吉区（現在の平野区）にある平野工場に活動拠点を移し、「日紡平野」と名称を改めました。
転機が訪れたのは1956年。女子バスケットボール界における名将として知られる尾崎正敏氏が監督に就任したことです。彼の指導のもと、チームは飛躍的に力をつけ、1958年の全日本総合バスケットボール選手権大会（オールジャパン）で初の全国制覇を達成します。
1964年には、親会社である大日本紡績がニチボーに社名を変更したのに伴い、チームも「ニチボー平野」となりました。この頃からチームは圧倒的な強さを誇るようになり、1965年からオールジャパンで8年連続優勝という偉業を成し遂げます。また、1967年に創設された日本女子バスケットボールリーグにおいても、第1回大会から7年連続で優勝を果たしました（これらの連覇記録は後に他のチームによって更新されています）。
特筆すべきは、1968年までに達成した「国内公式戦171連勝」という驚異的な記録です。この快挙は、同時期に活躍したニチボー貝塚女子バレーボール部と並び称され、ニチボーという社名を全国に知らしめる大きな力となりました。1971年の日本リーグでは、コート上のベスト5全てをニチボー平野の選手が独占するという、圧倒的な強さを見せつけました。国際大会においても、1967年から朴正煕杯争奪東南アジア女子バスケットボール選手権大会に日本代表とは別に単独チームとして参加し、1969年大会では見事優勝を飾っています。
1969年、ニチボーが日本レイヨンと合併してユニチカが誕生すると、平野工場は閉鎖されました。これに伴い、女子バスケットボール部も三島郡島本町にある山崎工場へ移転し、「ユニチカ山崎」と名称を変更しました。なお、日本レイヨンにも女子バスケットボール部が存在しましたが（1956年創部）、こちらは「ユニチカ宇治」として存続し、ユニチカ山崎とは別のチームとして活動を続けました。1975年の世界選手権では、尾崎監督が日本代表の指揮を執り、ユニチカ山崎の選手が主力として活躍し、日本代表の銀メダル獲得に大きく貢献しています。ユニチカ宇治は1976年に活動を終えましたが、ユニチカ山崎は1977年に山崎工場が会社分離により大阪染工となったのに伴い、拠点名を外して単に「ユニチカ」と名称を改めました。
日本リーグ7連覇の後も、日立戸塚や第一勧銀といったライバルチームが力をつけてきましたが、ユニチカはこれらと並び称される国内3強の一角として、依然としてトップレベルの力を維持していました。しかし、尾崎監督が退任して現場を離れると、共同石油やシャンソン化粧品といった新たな勢力の台頭にも押され、チームの勢いは次第に衰えていきました。1980年のオールジャパンを最後にタイトル獲得から遠ざかり、その後も低迷期が続き、ついには実業団リーグへの降格も経験しました。
1991年、ユニチカは女子バレーボール部とともに「フェニックス」というチーム愛称を導入し、「ユニチカ・フェニックス」として再出発を図りました。この愛称変更後、チームは再び力をつけ始め、1994年には全日本実業団選手権で優勝を果たします。1995-96年シーズンには日本リーグ2部を制覇し、入れ替え戦で富士通を破り、念願の1部リーグ復帰を達成しました。1998年には、かつてユニチカ宇治が本拠地としていた京都府宇治市へ拠点を移しました。
しかし、長引く景気低迷の影響を受け、1999年のWリーグへの移行を前にして、トップリーグからの撤退を決断します。女子バレーボール部も翌年には休部となり、多くの選手が東レへ移籍することになりました。トップリーグ撤退後も、ユニチカ・フェニックスは京都府の大会に参加し、2000年、2001年と2年連続でオールジャパン出場を果たしました。しかし、時代の流れには逆らえず、2004年に廃部となり、その長い歴史に幕を閉じました。
チームが獲得した全国タイトル数は、全日本総合選手権15回、日本リーグ8回、全日本実業団選手権4回、国体6回の合計33回を数えます。これは、日本の女子バスケットボール界において、ENEOSサンフラワーズ（旧共同石油）に次ぐ歴代2位の記録であり、ユニチカ・フェニックスが日本のバスケットボール史に確かにその名を刻んだことを示しています。
全日本総合バスケットボール選手権大会：優勝15回
日本リーグ：優勝8回
全日本実業団選手権：優勝4回
国体：優勝6回
下園洋子
大川節子
堀一江
林早苗
岩本栄子（趙栄順）
柳登美子
前田洋子
熊谷栄子
黄蘭子
五島豊子
坪井妙子
脇田代喜美
青沼令子
門屋加壽子
宮本輝子
山本幸代
古野久子
吉野啓子
福井美恵子
松岡美保
佐藤千恵美
大谷利恵子
松浦淳子
石丸純子（元プロ野球選手 町豪将の母）
小松ひとみ
竹村典子
堀部涼子
桜井もも子（プロバスケットボール選手 桜井良太の姉）
特に女子のバスケットボールをはじめとする団体球技で広く使われている「コートネーム」は、ユニチカが最初に導入した文化であると言われています。
歴史の始まりと発展
チームは1949年、大阪市東区（現在の大阪市中央区）で大日本紡績本店女子バスケットボール同好会として産声を上げました。創部当初から実力を見せ、全日本実業団選手権で3位という成績を収めます。1954年には、東住吉区（現在の平野区）にある平野工場に活動拠点を移し、「日紡平野」と名称を改めました。
転機が訪れたのは1956年。女子バスケットボール界における名将として知られる尾崎正敏氏が監督に就任したことです。彼の指導のもと、チームは飛躍的に力をつけ、1958年の全日本総合バスケットボール選手権大会（オールジャパン）で初の全国制覇を達成します。
1964年には、親会社である大日本紡績がニチボーに社名を変更したのに伴い、チームも「ニチボー平野」となりました。この頃からチームは圧倒的な強さを誇るようになり、1965年からオールジャパンで8年連続優勝という偉業を成し遂げます。また、1967年に創設された日本女子バスケットボールリーグにおいても、第1回大会から7年連続で優勝を果たしました（これらの連覇記録は後に他のチームによって更新されています）。
特筆すべきは、1968年までに達成した「国内公式戦171連勝」という驚異的な記録です。この快挙は、同時期に活躍したニチボー貝塚女子バレーボール部と並び称され、ニチボーという社名を全国に知らしめる大きな力となりました。1971年の日本リーグでは、コート上のベスト5全てをニチボー平野の選手が独占するという、圧倒的な強さを見せつけました。国際大会においても、1967年から朴正煕杯争奪東南アジア女子バスケットボール選手権大会に日本代表とは別に単独チームとして参加し、1969年大会では見事優勝を飾っています。
ユニチカ時代と低迷
1969年、ニチボーが日本レイヨンと合併してユニチカが誕生すると、平野工場は閉鎖されました。これに伴い、女子バスケットボール部も三島郡島本町にある山崎工場へ移転し、「ユニチカ山崎」と名称を変更しました。なお、日本レイヨンにも女子バスケットボール部が存在しましたが（1956年創部）、こちらは「ユニチカ宇治」として存続し、ユニチカ山崎とは別のチームとして活動を続けました。1975年の世界選手権では、尾崎監督が日本代表の指揮を執り、ユニチカ山崎の選手が主力として活躍し、日本代表の銀メダル獲得に大きく貢献しています。ユニチカ宇治は1976年に活動を終えましたが、ユニチカ山崎は1977年に山崎工場が会社分離により大阪染工となったのに伴い、拠点名を外して単に「ユニチカ」と名称を改めました。
日本リーグ7連覇の後も、日立戸塚や第一勧銀といったライバルチームが力をつけてきましたが、ユニチカはこれらと並び称される国内3強の一角として、依然としてトップレベルの力を維持していました。しかし、尾崎監督が退任して現場を離れると、共同石油やシャンソン化粧品といった新たな勢力の台頭にも押され、チームの勢いは次第に衰えていきました。1980年のオールジャパンを最後にタイトル獲得から遠ざかり、その後も低迷期が続き、ついには実業団リーグへの降格も経験しました。
フェニックスとしての再起と終焉
1991年、ユニチカは女子バレーボール部とともに「フェニックス」というチーム愛称を導入し、「ユニチカ・フェニックス」として再出発を図りました。この愛称変更後、チームは再び力をつけ始め、1994年には全日本実業団選手権で優勝を果たします。1995-96年シーズンには日本リーグ2部を制覇し、入れ替え戦で富士通を破り、念願の1部リーグ復帰を達成しました。1998年には、かつてユニチカ宇治が本拠地としていた京都府宇治市へ拠点を移しました。
しかし、長引く景気低迷の影響を受け、1999年のWリーグへの移行を前にして、トップリーグからの撤退を決断します。女子バレーボール部も翌年には休部となり、多くの選手が東レへ移籍することになりました。トップリーグ撤退後も、ユニチカ・フェニックスは京都府の大会に参加し、2000年、2001年と2年連続でオールジャパン出場を果たしました。しかし、時代の流れには逆らえず、2004年に廃部となり、その長い歴史に幕を閉じました。
チームが獲得した全国タイトル数は、全日本総合選手権15回、日本リーグ8回、全日本実業団選手権4回、国体6回の合計33回を数えます。これは、日本の女子バスケットボール界において、ENEOSサンフラワーズ（旧共同石油）に次ぐ歴代2位の記録であり、ユニチカ・フェニックスが日本のバスケットボール史に確かにその名を刻んだことを示しています。
成績
全日本総合バスケットボール選手権大会：優勝15回
日本リーグ：優勝8回
全日本実業団選手権：優勝4回
国体：優勝6回
主な歴代所属選手
下園洋子
大川節子
堀一江
林早苗
岩本栄子（趙栄順）
柳登美子
前田洋子
熊谷栄子
黄蘭子
五島豊子
坪井妙子
脇田代喜美
青沼令子
門屋加壽子
宮本輝子
山本幸代
古野久子
吉野啓子
福井美恵子
松岡美保
佐藤千恵美
大谷利恵子
松浦淳子
石丸純子（元プロ野球選手 町豪将の母）
小松ひとみ
竹村典子
堀部涼子
桜井もも子（プロバスケットボール選手 桜井良太の姉）
その他
特に女子のバスケットボールをはじめとする団体球技で広く使われている「コートネーム」は、ユニチカが最初に導入した文化であると言われています。
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