ユニバーサル・メディア・ディスク

ユニバーサル・メディア・ディスク（UMD）

概要

ユニバーサル・メディア・ディスク（UMD）は、ソニーが開発した特有の光ディスク規格です。この規格は、主に2004年に発売された携帯型ゲーム機「PlayStation Portable（PSP）」専用のメディアとして位置付けられています。UMDは、音楽や映像の再生も可能であり、ゲームメディア以上の利用が期待されていました。

誕生背景

PSPは単なるゲーム機ではなく、「UMD Audio」と「UMD Video」という特性を持つことで、ユーザーは音楽や映画を楽しめるように設計されていました。この機能が搭載されたことにより、映画会社や音楽業界はPSPを通じた新たなコンテンツ配信に関心を示し始めました。しかし、既存のメディアに不足していた強力なコピー保護機能を求める声が高まり、新たなメディアとしてUMDが開発されました。

仕様と構造

UMDは直径60mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製ディスクで、約1.8GBの容量を持つ2層式の構造です。ディスクはカートリッジに収められており、一般的なCDやDVDに比べて物理的には小型です。また、記録面は直接露出しているため、取扱いには注意が必要です。UMDの読み取りには、PSP特有の波長660nmの赤色半導体レーザーが使用されます。

記録方式

UMDには主に「PSP Game」、「UMD Audio」、「UMD Video」があり、それぞれ異なる形式のデータを記録します。音楽作品は「UMD MUSIC」として分類され、映像作品は「UMD VIDEO」として取り扱われる傾向があります。

UMD VideoとUMD Music

UMD Videoは、複数の音声や字幕を収録できるディスクで、DVDと同様の再生機能を備えています。一方、UMD MUSICは主に音楽用のディスクで、ATRAC3plus形式で音声を記録するなど、多様なフォーマットに対応しています。

セキュリティ機能

UMDには128ビットAESによる著作権保護機能が施されており、ディスク自体には固有のIDが付与されています。また、リージョンコードも設けられ、異なる地域のコンテンツは再生できない仕組みです。ただし、ゲームソフトには特別なプロテクトは施されていません。

ソフトウェアと市場の反響

UMDは2004年12月以降、さまざまなゲームソフトがリリースされました。音楽ソフトは2005年4月から展開され、映像ソフトも同年から多くのタイトルが発売されました。それとは別に、UMDの市場での反響は賛否が分かれました。高画質な映像とポータブルな特性は評価されたものの、再生機器がPSPのみに限定される点や、コストの面でDVDと同等の価格設定が適正か疑問視されることもありました。

販売終了

UMDは、様々なハードウェアの進化により、次第に市場での地位を失っていきました。2011年に発売されたPlayStation Vitaなど、UMDドライブを搭載しない機器が登場する中、UMDビデオプレーヤーも実現しませんでした。2012年時点で、競合メディアがコストと容量で優位に立ったため、UMDメディアとしての資質は薄れていきました。

まとめ

最終的に、UMDはその特異な位置付けにもかかわらず、DVDやBlu-ray Discの普及に比べると、広範な市場での認知を得ることはできませんでしたが、ゲームソフト市場では一定の支持を受けつつ、2000年代の携帯型ゲーム機文化を支えた重要な要素とされています。

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