ユバ1世

ユバ1世：ヌミディア王、その生涯と悲劇

ユバ1世（紀元前85年頃 - 紀元前46年4月）は、ヌミディア王国の王であり、その治世は紀元前60年から紀元前46年に及びました。父はヒエムプサル2世、そして彼は後にマウレタニア王となるユバ2世の父でもあります。

生涯

父ヒエムプサル2世がグナエウス・ポンペイウスの助けによってヌミディア王の地位を得た経緯から、ユバ1世もまたポンペイウスの同盟者として行動しました。ガイウス・ユリウス・カエサルとポンペイウスの間で勃発した内戦において、ユバ1世はポンペイウス率いる元老院派に与し、紀元前49年8月にはカエサル派のガイウス・スクリボニウス・クーリオ率いる軍勢を、ポンペイウス派と協力してバグラダス川の戦いで打ち破り、クーリオ自身を討ち取るという戦果を挙げました。

この功績により、元老院派からは「ローマ国民の同盟者・友人」と称えられましたが、カエサル派からは「ローマの敵」と宣告されることとなりました。

紀元前48年8月9日、ファルサルスの戦いにおいて元老院派が決定的な敗北を喫し、ポンペイウスがエジプトで暗殺された後も、ユバ1世は元老院派との連携を維持し、北アフリカのウティカへ侵攻したカエサル軍に対抗しました。しかし、彼の王国ヌミディア本国では、カエサルと手を結んだマウレタニア王ボックス2世や、イタリア人のプブリウス・シッティウスらによる領土侵犯が相次ぎました。このため、ユバ1世は自軍の半数をヌミディアへ送り返し、残りの兵力で元老院派に加勢しましたが、紀元前46年のタプススの戦いで再び敗北を喫することとなりました。

再起を図り逃亡を試みましたが、カエサル軍による掃討作戦は厳しく、ユバ1世はザマ近郊でマルクス・ペトレイウスと刺し違えて自害しました。これにより、マシニッサ王以来の伝統を持つヌミディア王国は終焉を迎え、ヌミディアはローマの属州へと編入されることとなったのです。

ユバ1世の死後

ユバ1世の息子であるユバ2世は、ローマの捕虜となりましたが、ローマで養育を受けました。後に、アウグストゥス帝によってマウレタニア王の地位を与えられました。ユバ2世は、クレオパトラ・セレネとカッパドキアのグラヒュラと結婚し、クレオパトラ・セレネとの間には、クレオパトラ、プトレマイオス、ドゥルシラの3人の子供をもうけました。ユバ2世は、その高い学識で知られていましたが、彼の著作は残念ながら全て散逸してしまっています。

ユバ1世の生涯は、ローマ内戦という激動の時代に翻弄され、最終的には悲劇的な結末を迎えた王の物語として、歴史に刻まれています。

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