ユミル (衛星)

土星の第19衛星ユミル

ユミル（またはイミール、Saturn XIX Ymir）は、土星の第19番目の衛星であり、特徴的な逆行軌道を持つ不規則衛星に分類されます。この衛星は、土星の周りを公転する他の不規則衛星の中でも、北欧群に属していることで知られています。

発見と命名

ユミルは、2000年8月7日にブレット・J・グラドマン率いる観測チームによって発見されました。観測はチリのラ・シヤ天文台で行われました。発見は同年10月25日に国際天文学連合（IAU）によって公表され、当初は仮符号「S/2000 S 1」が与えられました。その後、2003年8月8日に、北欧神話における天地創造の物語に登場する、霜の巨人たちの祖先である原初の巨人ユミルにちなんで正式に命名され、「Saturn XIX」という確定番号が与えられました。

特徴

ユミルのアルベド（反射率）を0.06と仮定した場合、その直径は約18kmと推定されています。これは、3年以上の長い軌道周期を持つ土星の衛星の中では最大級の大きさです。土星からの平均距離は約23,128,000kmと非常に遠く、大きな軌道離心率を持つ軌道を約1315日かけて土星を一周します。

2013年3月には、土星探査機カッシーニによってユミルの自転周期が測定され、約11時間55分20秒であることが判明しました。この自転周期は、他の多くの衛星と比較して比較的短いものです。

また、ユミルはスカジと共に、イアペトゥスやヒペリオンの表面に見られる暗い物質の供給源の一つである可能性も指摘されています。これは、ユミルの表面から放出された物質が、他の衛星に降り積もっている可能性を示唆しています。

軌道と分類

ユミルは、土星の周りを逆行軌道で公転する不規則衛星であり、北欧群に属しています。不規則衛星とは、惑星の周りを比較的遠く、傾斜した軌道で公転する衛星のことで、通常、惑星の形成後に捕獲されたと考えられています。ユミルのような不規則衛星の研究は、土星系の形成と進化に関する理解を深める上で非常に重要です。

ユミルは、その特徴的な軌道と、土星の他の衛星との関連性から、今後も注目される天体です。

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