ユリウス・フランツ (ザクセン＝ラウエンブルク公)

ユリウス・フランツ（Julius Franz, 1641年9月16日 - 1689年9月30日）は、アスカーニエン家最後のザクセン＝ラウエンブルク公であり、1666年から1689年まで在位しました。彼はユリウス・ハインリヒと、その3番目の妻であるアンナ・マグダレーナ・フォン・ロプコヴィッツの間に生まれました。

生涯

1666年、ユリウス・フランツは異母兄のフランツ・エルトマンが子を残さずに亡くなったため、公位を継承しました。しかし、ユリウス・フランツ自身にも息子がいなかったため、彼の死後、誰が公位を継ぐのかが大きな問題となりました。彼は遺言で、自身の死後は2人の娘に相続権があると定めましたが、これが後の紛争の火種となります。

1689年にユリウス・フランツが亡くなると、アスカーニエン家の男系はここに断絶しました。しかし、事態は単純には進みませんでした。リューネブルク侯ゲオルク・ヴィルヘルムが軍を派遣し、ラウエンブルクを占領したのです。ゲオルク・ヴィルヘルムは、父方の曽祖母ドロテアを通してアスカーニエン家の血を引いていたため、自らに相続権があると主張しました。

さらに、メクレンブルク＝シュヴェリーン、ホルシュタイン、アンハルト侯国、デンマーク、スウェーデンといった周辺諸国も、この領土を巡って対立し、紛争は激化しました。領土の帰属をめぐる争いは複雑化し、ヨーロッパの勢力図を揺るがす事態へと発展しました。

1693年10月9日、ハンブルクにおいてゲオルク・ヴィルヘルムとデンマーク・ノルウェー王クリスチャン5世との間で和睦が成立しました。この和睦により、ゲオルク・ヴィルヘルムはリューネブルク侯とザクセン＝ラウエンブルク公の同君連合を認められることとなりました。そして、ゲオルク・ヴィルヘルムの死後、これらの領土は甥であり、かつ婿でもあるグレートブリテン王兼ハノーファー選帝侯ジョージ1世が相続し、ハノーヴァー朝のドイツにおける領国に組み込まれることとなったのです。

子女

ユリウス・フランツは、プファルツ＝ズルツバッハ公クリスティアン・アウグストの娘ヘートヴィヒと結婚し、3人の娘をもうけました。

マリア・アンナ・テレジア（1670年 - 1671年）
アンナ・マリア（1672年 - 1741年）：プファルツ選帝侯フィリップ・ヴィルヘルムの息子フィリップ・ヴィルヘルム・アウグストと結婚しましたが、死別。その後、トスカーナ大公ジャン・ガストーネと再婚しました。
* フランツィスカ・ジビッラ・アウグスタ（1675年 - 1733年）：バーデン＝バーデン辺境伯ルートヴィヒ・ヴィルヘルムと結婚しました。

ユリウス・フランツの死後、ザクセン＝ラウエンブルク公国はハノーヴァー朝の支配下に入り、その領土はヨーロッパの政治地図の中で新たな役割を担うこととなりました。彼の生涯は、ヨーロッパの王侯貴族の婚姻と相続が、いかに政治的な影響力を持っていたかを物語る好例と言えるでしょう。

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