ユーザー (コンピュータ)

ユーザーとは

コンピュータやネットワークサービスを利用する人を「ユーザー」と呼びます。多くの場合、ユーザーはシステムを識別するための「ユーザーアカウント」を持ち、ユーザー名で識別されます。ユーザー名は、ログイン名、スクリーン名、アカウント名、ニックネーム、ハンドルなど、様々な呼び方があります。

ソフトウェアの中には、直接的なエンドユーザーを持たず、他のシステムにサービスを提供するものもあります。

エンドユーザー

エンドユーザーは、ソフトウェア製品の最終的な利用者であり、オペレーターとも呼ばれます。システムをサポート・保守するユーザー（システムオペレーター、データベース管理者など）とは対照的な存在です。

エンドユーザーという言葉は、ソフトウェアを使う人を、ソフトウェアを開発する人と区別するために使われます。また、ユーザー中心設計においては、ソフトウェアの費用を負担する顧客や、要件定義を支援する関係者から、ソフトウェアのオペレーターを区別するために用いられます。

ユーザー中心設計では、ユーザーの種類を表すために「ペルソナ」を作成することがあります。ペルソナごとに、ユーザーインターフェースへの慣れ、技術的な専門知識の度合いなどが設定されます。一般向けのプログラムでは、ユーザーの技術的な専門知識はあまり期待されないことが一般的です。

「エンドユーザー開発」という分野では、プログラマーではない人が、自動化された動作や複雑なデータオブジェクトを作成することがあります。

他のシステムやソフトウェアエージェントをアクターとするシステムには、直接のエンドユーザーは存在しません。

ユーザーアカウント

ユーザーアカウントを使用すると、ユーザーはシステムに認証され、システムが提供するリソースを利用する許可を得ることができます。認証は承認を意味するものではありません。

ログイン時に、ユーザーは通常、パスワードなどの認証情報を求められます。これは、課金、セキュリティ、ログ管理、リソース管理のために必要です。

ユーザーがログインすると、オペレーティングシステムはユーザーを識別するために、ユーザー名ではなく整数などの識別子を使用します。Unixシステムでは、ユーザー名はユーザーIDに関連付けられています。

コンピュータシステムは、ユーザーの種類に応じて、シングルユーザーシステムとマルチユーザーシステムに分類できます。

シングルユーザーシステム: 複数のユーザーアカウントの概念がないシステム
マルチユーザーシステム: ユーザーがシステムを使用する前に自分自身を識別する必要があるシステム

マルチユーザーシステムでは、各ユーザーアカウントにホームディレクトリがあり、ユーザーのファイルが保存されます。ホームディレクトリは他のユーザーからのアクセスから保護されています（システム管理者はアクセスできる場合があります）。ユーザーアカウントには、ユーザーが提供した基本情報を含むパブリックプロファイルが含まれていることがあります。

ファイルシステムにはアクセス許可があり、オペレーティングシステムによって、ファイルやディレクトリへのアクセス権限が管理されます。

多くのシステムには、誰でもシステムを使用できる特別なアカウント（匿名FTPの「anonymous」、ゲストアカウントの「guest」など）があります。

パスワードの保存

Unixシステムでは、ローカルユーザーアカウントは`/etc/passwd`に、ユーザーパスワードはハッシュ形式で`/etc/shadow`に保存されることがあります。

Microsoft Windowsでは、ユーザーパスワードはCredential Managerで管理され、Windowsプロファイルディレクトリに格納されています。

ユーザー名の形式

コンピュータのオペレーティングシステムやアプリケーションは、ユーザー名の形式に独自のルールを設けています。

Microsoft Windows環境では、以下のような形式が用いられます。

ユーザプリンシパル名形式: `[email protected]`
ダウンレベルログオン名形式: `DOMAIN\UserName`

用語について

一部のユーザビリティ専門家は、「ユーザー」という言葉を好まず、別の言葉に置き換えることを提案しています。

ドナルド・ノーマンは、「『ユーザー』は恐ろしい言葉であり、『人』と呼ぶべきだ」と述べています。

コンピュータシステムやソフトウェア製品のユーザーは、その仕組みを完全に理解するための技術的な知識を持っていないことが一般的です。パワーユーザーは高度な機能を使いますが、必ずしもプログラミングやシステム管理ができるわけではありません。

参照項目

ユーザーインターフェース
ユーザビリティ
ユーザーエクスペリエンス
ペルソナ
* エンドユーザー開発

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