ユース・シンフォニー

ラフマニノフ「ユース・シンフォニー ニ短調」

「ユース・シンフォニー ニ短調」は、セルゲイ・ラフマニノフがモスクワ音楽院在籍中に作曲を試みた交響曲の通称です。完成には至らず、アレグロの断章のみが現存しています。13歳頃に着想を得たとされ、現存する楽章は1891年に完成しました。

作曲の経緯

ラフマニノフは、モスクワ音楽院のピアノ科を優秀な成績で1年繰り上げ卒業後、作曲科に進みました。卒業試験の課題として、交響曲とオペラの作曲が求められ、その結果、歌劇『アレコ』とこの『ユース・シンフォニー』が生まれました。1891年9月28日に完成しています。

作品の概要

この作品は、序奏付きのソナタ形式で構成されています。

序奏 (グラーヴェ、ニ短調、4分の4拍子): 低弦の下降音形にホルンが応え、ヴァイオリンが緩やかに旋律を奏でます。低弦の対旋律と絡み合い、ティンパニのロールに乗せて高揚し、主部へと移行します。
主部 (アレグロ、8分の6拍子): 弦楽器がリズミカルで力強い主題を提示します。この主題は、チャイコフスキーの交響曲第4番第1楽章の第1主題を彷彿とさせます。主題が展開された後、ヘ長調の牧歌的な第2主題がクラリネットによって奏でられ、弦楽器へと引き継がれ、豊かに歌われます。
展開部: 第1主題が突如として現れ、展開部に入ります。第2主題も華やかに響き、第1主題が激しい頂点を築いた後、静寂が訪れ、再現部へと移行します。
コーダ: グラーヴェで金管楽器が重厚な旋律を奏でます。速度が元に戻り、弦楽器の舞曲的な動きと金管楽器の下降音形が交錯し、ニ短調の主和音で力強く曲を閉じます。

参考文献

Layton, Robert. CD pamphlet: "From Failure to Success". Philips Classics Productions, 1994. (Sergei Rachmaninoff, Symphony No. 2, Op. 27 -- Kirov Orchestra / Valery Gergiev)

外部リンク

ユース・シンフォニー　ニ短調の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
Symphony in D minor 'Youth Symphony' - 『Allmusic』より《ディスコグラフィー一覧》
当楽曲のサンプル試聴が可能なサイト
Rachmaninoff：The Isle of the Dead／Youth Symphony／Symphony No.1 - Chandos（レコードレーベル）公式サイトより
Rachmaninoff：Symphony No.1；The Isle of the Dead；Youth Symphony - 『Allmusic』より
Rachmaninov, S.：The Isle of the Dead／Symphony in D Minor - 『eClassical』より《当楽曲の無料試聴（ジャナンドレア・ノセダ指揮）が可能》
Symphony In D Minor Rachmaninov - 『RaduCobra Music』より《当楽曲の無料試聴が可能（当楽曲以外に『交響曲第1番作品13』等の試聴音源掲載有り）》

もう一度検索