アレグロ

アレグロとは

アレグロ（allegro）は、音楽用語として広く知られています。イタリア語に由来し、本来の意味は「陽気な」「快活な」といった、明るく活発な様子を表す言葉です。しかし、音楽の分野では、主に演奏速度を指示する言葉として用いられ、「速く」演奏することを意味します。

音楽の速度記号としては、アレグロよりもさらに速いテンポを示す「プレスト」という言葉もありますが、アレグロは、楽曲の中で最も頻繁に使用される速度記号の一つです。特に、ソナタや交響曲などの多楽章形式の楽曲においては、第一楽章にアレグロが指定されることが多く、その楽曲の性格を特徴づける重要な要素となっています。

アレグロは単独で用いられるだけでなく、「コン・ブリオ（輝かしく）」や「マ・ノン・トロッポ（しかし過度でなく）」といった、演奏の表情やニュアンスを示す言葉を伴って使われることもあります。これにより、作曲家は演奏者に、より具体的な音楽表現を求めることができます。

アレグロを題名に持つ主な楽曲

アレグロは、速度記号としてだけでなく、楽曲のタイトルとしても用いられることがあります。以下に、アレグロを題名に含む代表的な楽曲をいくつかご紹介します。

演奏会用アレグロ
ショパンの作品
エンリケ・グラナドスの作品（1904年）
アレクサンドル・スクリャービンの作品

アレグロ (サティ)：エリック・サティの処女作であるピアノ曲。わずか30秒ほどの短い曲ですが、サティの作曲家としてのキャリアの始まりを示す重要な作品です。

アダージョとアレグロ：ロベルト・シューマンの作品（1849年）。

アレグロ・アパショナート：カミーユ・サン＝サーンスの作品（1874年）。

序奏とアレグロ
モーリス・ラヴェルの作品（1905年）
エドワード・エルガーの作品

同題の作品については、「序奏とアレグロ」の項目をご参照ください。

アレグロ・バルバロ：バルトーク・ベーラの作品（1911年）。

アレグロ (ACIDMANの曲)：日本のロックバンド、ACIDMANのシングル。

これらの楽曲は、いずれもアレグロの持つ「速く、活発な」というイメージを音楽で表現しており、それぞれ異なる作曲家の個性が感じられる興味深い作品です。

その他の用法

アレグロは、音楽以外の分野でも用いられることがあります。以下に、その主な例をいくつかご紹介します。

Finaleの廉価版：楽譜作成ソフトウェアの一種。音楽制作の現場で広く利用されています。

オースチン・アレグロ：イギリスの自動車メーカー、ブリティッシュ・レイランドが製造した小型乗用車。

ダホンの分割式自転車：かつてダホンが製造していた分割式の自転車の名称です。

高速列車：ロシアのサンクトペテルブルクとフィンランドのヘルシンキ間を結ぶ高速列車の名称。カレリアントレインズSm6電車を参照。

2D表示エンジン：Allegroという名称の2D表示エンジンが存在します。

ソフトウェアライブラリ：ビデオゲーム開発用のソフトウェアライブラリとしてもAllegroという名称のものが存在します。

このように、アレグロという言葉は音楽の分野だけでなく、様々な分野で用いられており、その多面的な意味合いが伺えます。

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