ユーリエフ・ポリスキー

ユーリエフ・ポリスキー：ヴラジーミル州の古都

ロシア連邦ヴラジーミル州に位置するユーリエフ・ポリスキーは、人口約1万7000人の歴史深い街です。州都ウラジーミルから北西に約68km、コロクシャ川上流に沿って発展してきました。その歴史は古く、1152年、キエフ公国のユーリー・ドルゴルーキー公によって建設されたことに始まります。

ユーリー公と「草原の都市」

ユーリエフ・ポリスキーという地名は、ユーリー公の守護聖人である聖ゲオルギウス（ユーリー）と、この地方の名称である「草原の（ポリスキー）」を組み合わせたものです。当時、同じ名前を持つ都市がエストニア（現在のタルトゥ）にも存在しており、それを区別するために「草原の」という意味を持つ言葉が付け加えられたと考えられています。

ユーリー・ドルゴルーキー公によって建設された多くの都市と同様に、ユーリエフ・ポリスキーも城壁に囲まれたクレムリ（城塞）を中心とした城郭都市として築かれました。この都市建設は、東スラヴ世界の勢力拡大における重要な出来事の一つでした。

戦乱と興亡、そしてモンゴル襲来

1212年、ウラジーミル・スーズダリ大公フセヴォロド3世の死後、ユーリエフ・ポリスキーは息子のスヴャトスラフに継承されます。そして、1216年には、ウラジーミル大公の座を巡る大規模な戦闘であるリピツァの戦いがこの地近郊で勃発しました。スヴャトスラフは、この地を象徴する聖ゲオルギウス聖堂を建設。これはモンゴル帝国のルーシ侵入以前に建造された最後の石造建築であり、その精緻な石の彫刻は当時としては類を見ないものでした。この聖堂は、後のモスクワのクレムリンにおける最初の石造聖堂のモデルになったとされています。

1238年、ユーリエフ・ポリスキーはモンゴル軍の侵攻を受け、街は破壊されました。その後、モスクワ大公国に併合されますが、長らく廃墟と化したまま放置されました。16世紀頃より、大天使ミハイル修道院の再建と時を同じくして、街の再建が始まり、スーズダリ地方とモスクワを結ぶ交易路沿いの拠点として再び栄えるようになりました。しかしながら、主要な産業は農業にとどまりました。

歴史遺産と現代

ユーリエフ・ポリスキーの主な見どころは、なんといってもモンゴル襲来以前の建築様式を残す聖ゲオルギウス聖堂です。幾度かの修復を経て現在も残る聖堂は、当時の建築技術の高さを物語っています。また、モスクワ大公国時代に築かれた城壁に囲まれた大天使ミハイル修道院も重要な歴史的建造物です。13世紀に創建され、17～18世紀にかけて拡張された修道院は、当時の建築様式をよく伝えています。さらに、郊外には17世紀半ばの建築様式を伝えるコスミン修道院も存在します。

20世紀後半以降、ユーリエフ・ポリスキーは、これらの歴史的建造物を中心とした観光都市として発展を遂げています。大規模な工場は少ないものの、繊維や食品加工などの軽工業が一部で営まれています。古都の歴史と文化を肌で感じることができる街として、多くの観光客が訪れています。

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