ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク連合公国

ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク連合公国

ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク連合公国（Vereinigte Herzogtümer Jülich-Kleve-Berg）は、15世紀から17世紀にかけて、現在のドイツ、ノルトライン＝ヴェストファーレン州に存在した複数の公爵領と伯爵領が同君連合を形成した領邦の総称です。これらの領邦は全て神聖ローマ帝国の直属領邦であり、連合公国という形で結びついていました。

歴史

1423年、ユーリヒ公国とベルク公国が連合関係に入ったのが始まりです。1521年、ユーリヒ＝ベルク公ヴィルヘルム4世が男子なく死去したため、娘のマリアが相続人となりました。マリアは、近隣のクレーフェ公国とマルク伯領の支配者ヨハン3世と政略結婚しており、ヨハン3世が妻の相続した全領土を支配下に収めました。これにより、ユーリヒ、クレーフェ、ベルク、マルク、ラーヴェンスベルクの各領邦が連合しました。この連合公国は、ケルン大司教領とミュンスター司教領を除けば、現在のノルトライン＝ヴェストファーレン州のほぼ全域を覆う広大な領土でした。

また、ヨハン3世の息子ヴィルヘルム5世は、短期間ゲルデルン公国も領有していました。この連合公国の領土は豊かで、ヴィルヘルム5世は「富裕公（Wilhelm der Reiche）」とも呼ばれていました。

1609年、ヨハン3世の孫ヨハン・ヴィルヘルムが死去し、連合公国の統治者の家系が途絶えました。これにより、後継者争いが勃発しました。当時の連合公国は、プロテスタント宗教改革の影響を受け、宗教的な対立が深まっていました。ヨハン・ヴィルヘルムの長姉マリー・エレオノーレはルター派、次姉アンナはカトリックを信仰し、それぞれ対立していました。

さらに、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世やザクセン選帝侯クリスティアン2世も連合公国の領土を狙っており、複雑な状況を招きました。特にフランス王アンリ4世やネーデルラント連邦共和国は、ルドルフ2世が連合公国を獲得して力を増すことを警戒していました。

最終的に、ブランデンブルク選帝侯領とプファルツ＝ノイブルク公領の間でユーリヒ＝クレーフェ継承戦争が勃発しました。1614年のクサンテン条約により、ブランデンブルクがクレーフェ、マルク、ラーフェンスベルクのプロテスタント領邦を、プファルツ＝ノイブルクがユーリヒとベルクのカトリック領邦を相続することで決着しました。しかし、この継承争いの戦乱により、連合公国の豊かな国土は荒廃しました。

ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公

ヨハン3世（在位：1521年 - 1539年）
ヴィルヘルム5世（在位：1539年 - 1592年）
ヨハン・ヴィルヘルム（在位：1592年 - 1609年）

関連項目

ユーリヒ公国
クレーフェ公国
ベルク公国
マルク伯領
ラーヴェンスベルク伯領
* アン・オブ・クレーヴズ

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