ユーリ・ジョルカエフ

ユーリ・ジョルカエフ：フランス黄金期を彩った名選手の軌跡

ユーリ・ジョルカエフ（Youri Djorkaeff）は、1968年3月9日、フランスのリヨンで生まれた元サッカー選手であり、現在はFIFA財団のCEOを務めています。カルムイク系の父とアルメニア系の母を持ち、父のジャン・ジョルカエフも元サッカー選手で、フランス代表として1966年のFIFAワールドカップに出場した経歴を持ちます。

クラブでの輝かしいキャリア

ジョルカエフは1984年にフランス2部リーグのグルノーブルでプロとしてのキャリアをスタートさせました。その後、ストラースブールを経て、1990-91シーズン途中にアーセン・ヴェンゲル監督率いるASモナコへ移籍。ここで1部リーグデビューを果たし、才能を開花させます。モナコではクープ・ドゥ・フランス優勝（1990-91）に貢献し、1993-94シーズンにはリーグ・アン得点王に輝きました。また、チャンピオンズリーグでは準決勝進出に貢献するなど、中心選手として活躍。モナコでの通算成績は196試合67得点。

1995-96シーズンには、パリ・サンジェルマン（PSG）へ移籍。UEFAカップウィナーズカップ優勝に貢献し、公式戦46試合で19得点を記録しました。1996-97シーズンには、インテルのマッシモ・モラッティ会長がその才能に惚れ込み、セリエAのインテルへ移籍。1997年1月5日のASローマ戦では、ジャンピングボレーによる劇的なゴールを決め、ファンの記憶に深く刻まれました。移籍初年度から公式戦11ゴールを挙げる活躍を見せましたが、その後監督が交代するにつれて、ストライカーとして起用するか、攻撃的MFとして起用するか、彼の最適なポジションが見出せず、1シーズン目ほどの活躍を見せることはできませんでした。それでも、1997-98シーズンにはUEFAカップ優勝を経験。1998-99シーズンには、ロベルト・バッジョの加入により出場機会が減少したものの、公式戦36試合で14得点を記録。2月7日のエンポリ戦ではハットトリックを達成し、インテル所属のフランス人選手として初の快挙を成し遂げました。

その後、ドイツ・ブンデスリーガのカイザースラウテルン、イングランドのボルトン・ワンダラーズ、ブラックバーンを経て、アメリカのレッドブル・ニューヨークで現役を引退。2006年10月30日、メジャーリーグサッカー・プレーオフでのチームの敗退を受けて引退を表明しました。

フランス代表としての輝き

ジョルカエフは、フランス代表としても輝かしい実績を残しています。U-21代表を経て、1993年10月13日のイスラエル戦でA代表デビュー。1994年2月16日のイタリアとの親善試合で代表初ゴールを記録しました。ワールドカップと欧州選手権にそれぞれ2回ずつ出場し、ジネディーヌ・ジダンと共にフランス代表の攻撃を牽引。自国開催となった1998年のワールドカップ・フランス大会では、大会最多タイとなる3つのアシストを記録し、優勝に大きく貢献しました。2000年のUEFA欧州選手権でも優勝を経験。2002年のワールドカップ・日韓大会では、負傷したジダンの代わりに司令塔を任されましたが、チームはグループリーグ敗退という結果に終わり、これが代表最後の試合となりました。フランス代表通算82試合28得点。

引退後の活動

引退後もジョルカエフは、サッカー界に貢献し続けています。2014年のブラジルW杯ではフランスのTV局TF1の専属コメンテーターを務めました。2019年9月にはFIFA財団のCEOに任命され、サッカーを通じた社会貢献活動に尽力しています。また、ザ・ディストリクト・オブ・コロンビア大学で経営学の学士号を取得し、2019年11月にはUEFA MIP（UEFAが設置するリモージュ大学の修士課程プログラム）を修了するなど、学業にも励んでいます。

ユーリ・ジョルカエフは、その華麗なプレースタイルと、フランス代表としての輝かしい実績で、多くのサッカーファンを魅了しました。引退後も、FIFA財団のCEOとして、サッカー界の発展に貢献し続けています。彼の功績は、これからも長く語り継がれることでしょう。

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