ユーロビジョン・ソング・コンテスト2008

ユーロビジョン・ソング・コンテスト2008（第53回）は、セルビア代表のマリヤ・シェリフォヴィッチが前年の大会で優勝したことを受け、セルビアのベオグラードで開催されました。会場は2万人以上を収容可能なベオグラード・アリーナで、準決勝は2008年 5月20日と22日、決勝は5月24日に行われました。司会はヨヴァナ・ヤンコヴィッチとジェリコ・ヨクシモヴィッチが務め、セルビア国営放送（RTS）が主催放送事業者となりました。

ロシア代表のジーマ・ビラーンが「Believe」を歌い、272点を獲得して優勝。ロシアに初のユーロビジョン優勝をもたらしました。2位はウクライナ、3位はギリシャ、4位はアルメニア、5位はノルウェーでした。

2008年大会では、史上初めて公式サイトEurovision.tvで各国の放送事業者の許可を得て、それぞれの国内選考の決勝が中継されました。

大会のテーマと会場

2008年1月30日、大会のテーマとして「The Confluence of Sound」が発表されました。これは、ベオグラードがドナウ川とサヴァ川の合流地点（Confluence）であることに由来します。

会場となったベオグラード・アリーナは、ヨーロッパ最大級の屋内イベント施設であり、2万人を超える観客を収容できます。大会に先立ち、前年の主催地ヘルシンキの市長からベオグラードの代表へ「ユーロビジョンの鍵」が引き渡される式典が行われました。この式典は2008年から始まったもので、前年の主催地から「ユーロビジョンの鍵」が引き渡され、公式に新しい大会シーズンの幕開けとなります。

開催をめぐる動き

2008年2月17日にコソボがセルビアからの独立を一方的に宣言したことに伴い、ベオグラードでは暴動が発生。欧州放送連合（EBU）は緊急に電話会議を行い、開催地の変更について協議しました。代替候補地としてウクライナやフィンランドが挙がりましたが、最終的には欧州放送連合の支援の下、開催地を変更せずにベオグラードで開催することが決定されました。セルビア政府はセルビア国営放送に対し、大会参加者と観客の安全を保証し、アルバニア、クロアチア、イスラエルの参加者代表団には特別の警護が付けられました。

視覚デザイン

セルビア国営放送は、大会のブランディング、ロゴデザイン、会場設計のための入札を実施。大会のテーマ「Confluence of Sound」に基づき、ロゴはト音記号をもとにボリス・ミリコヴィッチによってデザインされました。

各楽曲の前に流れる小映像「ポストカード」では、参加アーティストが書いた短い手紙が綴られ、その国の国旗が形作られました。手紙は各アーティストの母国語で書かれていますが、セルビアは例外で、参加各国の言語で「セルビアへようこそ」「ベオグラードへようこそ」と書かれています。ベルギーも例外で、同国からの参加曲「O Julissi」同様の架空言語で書かれました。

舞台は土着のアイデンティティ、歴史、現代のテーマ、シンボル、世界的なメッセージを表現したものとされ、「confluence（合流）」をテーマに多数のテレビジョンや液晶ディスプレイが設置されました。舞台はシカゴに拠点を置くデイヴィッド・クッシングによって設計されました。

大会の形式

2007年5月の記者会見で、欧州放送連合は2008年から2つの準決勝を行うことを発表。各国の放送事業者は、自国が参加・投票する準決勝を国内で放送することが義務付けられました。準決勝は公式サイトよりインターネット中継され、視聴者投票により上位9か国、および審査員投票により選ばれる1か国が決勝進出となります。

参加国

2007年12月21日、欧州放送連合は43か国が大会に参加することを確定し発表しました。サンマリノやアゼルバイジャンが初参加となりましたが、オーストリアは不参加でした。オーストリア放送協会は不参加の理由として、「楽曲の良し悪しではなく、出身国によって順位が決まっていくことが2007年大会ではっきりした」ことを挙げています。イタリアとスロバキアも不参加でした。

結果

準決勝1は2008年 5月20日、準決勝2は2008年 5月22日に行われ、それぞれの上位10か国が決勝に進出しました。決勝は2008年 5月24日に行われ、ロシアが優勝を果たしました。

放送

各国の放送事業者は、決勝に加えて自国が参加・投票する準決勝を自国で同時中継する義務を負っています。オーストラリアは参加国ではありませんが、スペシャル・ブロードキャスティング・サービス（SBS）により大会の模様が放送されました。本大会不参加のオーストリアでは、オーストリア放送協会がコンテストの決勝を中継し、高い視聴率がありました。

ユーロビジョン・ソング・コンテストの生中継は世界各地で見ることができ、公式サイトではピア・トゥ・ピア・インターネット中継がされました。セルビア国営放送は、1080iによるハイビジョン画像と5.1チャンネル・サラウンド音声による放送を行いました。

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