ヨウ素123

ヨウ素123についての詳細

ヨウ素123（I-123）は、放射線画像診断に利用されるヨウ素の放射性同位体です。主にSPECT（単一フォトン放出断層撮影）やSPECT/CT検査で用いられており、その半減期は約13.27時間です。この同位体が崩壊する際、電子捕獲によってテルル123に変化し、主に159 keVのガンマ線を発生します。これらのガンマ線は、画像診断において非常に重要な役割を果たしています。ヨウ素123は、通常、陰イオン123I-として、または放射性有機ヨウ素化合物の形で医療に使われます。

ヨウ素123の生成方法

ヨウ素123は、サイクロトロンを用いて生成されます。具体的には、カプセル内に封入されたキセノンに陽子を照射することで作成されます。この過程で、キセノン124が陽子を吸収し、2つの異なる経路をたどることができます。1つ目は、キセノン124が陽子を失って直接キセノン123になる道筋で、2つ目は、キセノン124が2つの中性子を失ってセシウム123を経由し、最終的にキセノン123に至る経路です。いずれの経路でも、最終的にはキセノン123が崩壊し、ヨウ素123へと変換されます。

生成されたヨウ素123は、低温下で照射カプセルの内壁に捕獲され、次に水酸化ナトリウムにより溶出されます。この際、ハロゲン不均化反応が起こります。また、医療用途では、通常、0.1Mの水酸化ナトリウム溶液中に含まれ、同位体純度は99.8%となっています。

ヨウ素123の崩壊過程

ヨウ素123は電子捕獲（EC）によりテルル123に崩壊します。この過程で生成されるテルル123は、ほぼ安定した核種となるため、実用上の安定性は高いとされています。生成されたテルル123は、基底状態の123Teにすぐにガンマ崩壊するか、約13％の確率で内部転換電子を放出する可能性があります。この内部転換により、比較的低エネルギーのオージェ電子が放出されます。これにより、ヨウ素123は完全に純粋なガンマ線放出核種ではないものの、臨床的にはガンマ線放出体として扱われることが多いです。

最近の研究によると、放射性同位体から放出されるオージェ電子は、細胞に対するダメージが非常に少ないことが示されています。ただし、放射性核種が直接細胞のDNAに影響を与えない限り、この前提が成り立ちます。ヨウ素123が使用される場合、この点に関しての注意が必要です。

注意点

放射性ヨウ素の除去は難しいため、特別に設計された除染剤の使用が勧められます。一般的な放射性除染製品の多くは、ヨウ素をただ拡散または揮発させるだけであり、ヨウ素に対しては効果が薄い場合が多いです。

このように、ヨウ素123は放射線画像診断の分野で重要な役割を果たしており、その特性や製造方法、崩壊過程について理解を深めることは、医療技術の進歩に寄与するでしょう。

もう一度検索