ヨハネス・スキュリツェス
ヨハネス・スキュリツェスは、11世紀後半の東ローマ帝国で活躍した歴史家です。彼は1040年代初頭に生まれ、1101年以降に没したと推測されていますが、その生涯については詳しいことは分かっていません。彼の著作には「クロパラテス」や「ドゥルンガリオス・テース・ビグラス」といった爵位や官位が記されており、ヨハネス・トラケシオスという別名も知られています。
スキュリツェスの主著は『歴史概観（スキュリツェス年代記）』です。この年代記は、テオファネスの年代記を引き継ぎ、811年のニケフォロス1世の死から1057年のミカエル6世の退位までの東ローマ帝国の歴史を記録したものです。さらに、1057年から1079年までを扱った『スキュリツェス・コンティニュアトゥス』と呼ばれる年代記も存在し、一部の研究者はこれもスキュリツェスの著作であると考えています。
『歴史概観』の写本の中でも特に有名なのが、『マドリード・スキュリツェス』です。これは12世紀にシチリアで作成されたとされる写本で、現在はスペイン国立図書館に所蔵されています。ただし、この写本の作成場所や画家集団については、研究者の間でも意見が分かれています。
『マドリード・スキュリツェス』の最大の特徴は、574幅もの細密画（うち100幅程が欠損）です。これらの細密画には、外国使節を送迎する皇帝、攻城戦などの戦闘場面、個人の肖像などが写実的に描かれており、当時の風俗を視覚的に伝えています。ビザンツの年代記で挿絵入りの写本は他に例がなく、当時の社会や文化を知る上で非常に貴重な一次史料となっています。
参考文献
Ioannis Scylitzae Synopsis Historiarum (ed. Hans Thurn, CFHB, 1973; ISBN (978)3110022858)
AHRB Skylitzes Colloquium, Belfast, 21–22 September 2002, Institute for Byzantine Studies, Queen's University, Belfast.
John Wortley (trans.), John Scylitzes, a synopsis of histories (811-1057 A.D.): a provisional translation, Centre for Hellenic Civilization, University of Manitoba, 2000.
B. Flusin (trans.), J.-C. Cheynet (ed.), Jean Skylitzès: Empereurs de Constantinople, Ed. Lethielleux, 2004, ISBN 2-283-60459-1.
Kazhdan, Alexander, ed (1991). Oxford Dictionary of Byzantium. Oxford University Press. p. 1914. ISBN 978-0-19-504652-6
W. Seibt: Johannes Skylitzes: Zur Person des Chronisten, Jahrb. Österr. Byz. 25 (1976) 81-85.
Eirini-Sophia Kiapidou, Ἡ Σύνοψη Ἱστοριῶν τοῦ Ἰωάννη Σκυλίτζη καὶ οἱ πηγές της (811‐1057). Συμβολὴ στὴ βυζαντινὴ ἱστοριογραφία κατὰ τὸν ΙΑ΄ αἰώνα, Αthens 2010
ジュディス・ヘリン 翻訳・監修 井上浩一『ビザンツ 驚くべき中世帝国』白水社、2010年10月。ISBN 978-4560080986.
外部リンク
Notes by Paul Stephenson
Biography of Basil II with notes on Scylitzes by Catherine Holmes
Opera Omnia by Migne Patrologia Graeca with analytical indexes
Synopsis of Histories (Σύνοψις Ἱστοριῶν)
スキュリツェスの主著は『歴史概観（スキュリツェス年代記）』です。この年代記は、テオファネスの年代記を引き継ぎ、811年のニケフォロス1世の死から1057年のミカエル6世の退位までの東ローマ帝国の歴史を記録したものです。さらに、1057年から1079年までを扱った『スキュリツェス・コンティニュアトゥス』と呼ばれる年代記も存在し、一部の研究者はこれもスキュリツェスの著作であると考えています。
『歴史概観』の写本の中でも特に有名なのが、『マドリード・スキュリツェス』です。これは12世紀にシチリアで作成されたとされる写本で、現在はスペイン国立図書館に所蔵されています。ただし、この写本の作成場所や画家集団については、研究者の間でも意見が分かれています。
『マドリード・スキュリツェス』の最大の特徴は、574幅もの細密画（うち100幅程が欠損）です。これらの細密画には、外国使節を送迎する皇帝、攻城戦などの戦闘場面、個人の肖像などが写実的に描かれており、当時の風俗を視覚的に伝えています。ビザンツの年代記で挿絵入りの写本は他に例がなく、当時の社会や文化を知る上で非常に貴重な一次史料となっています。
参考文献
Ioannis Scylitzae Synopsis Historiarum (ed. Hans Thurn, CFHB, 1973; ISBN (978)3110022858)
AHRB Skylitzes Colloquium, Belfast, 21–22 September 2002, Institute for Byzantine Studies, Queen's University, Belfast.
John Wortley (trans.), John Scylitzes, a synopsis of histories (811-1057 A.D.): a provisional translation, Centre for Hellenic Civilization, University of Manitoba, 2000.
B. Flusin (trans.), J.-C. Cheynet (ed.), Jean Skylitzès: Empereurs de Constantinople, Ed. Lethielleux, 2004, ISBN 2-283-60459-1.
Kazhdan, Alexander, ed (1991). Oxford Dictionary of Byzantium. Oxford University Press. p. 1914. ISBN 978-0-19-504652-6
W. Seibt: Johannes Skylitzes: Zur Person des Chronisten, Jahrb. Österr. Byz. 25 (1976) 81-85.
Eirini-Sophia Kiapidou, Ἡ Σύνοψη Ἱστοριῶν τοῦ Ἰωάννη Σκυλίτζη καὶ οἱ πηγές της (811‐1057). Συμβολὴ στὴ βυζαντινὴ ἱστοριογραφία κατὰ τὸν ΙΑ΄ αἰώνα, Αthens 2010
ジュディス・ヘリン 翻訳・監修 井上浩一『ビザンツ 驚くべき中世帝国』白水社、2010年10月。ISBN 978-4560080986.
外部リンク
Notes by Paul Stephenson
Biography of Basil II with notes on Scylitzes by Catherine Holmes
Opera Omnia by Migne Patrologia Graeca with analytical indexes
Synopsis of Histories (Σύνοψις Ἱστοριῶν)
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