ヨハネス22世 (ローマ教皇)

ヨハネス22世の生涯

ヨハネス22世（Ioannes XXII）は、1244年頃に生まれ、1334年12月4日に亡くなったローマ教皇であり、アヴィニョン捕囚の時代に在位していました。彼は1316年から1334年の期間、教皇として様々な改革を実施し、歴史に名を刻むことになりました。

教皇としての道のり

本名はジャック・ドゥーズであったヨハネス22世は、フランス南西部のカオールで裕福な中産階級として生まれました。彼はナポリ王ロベルト1世の秘書からキャリアをスタートさせ、フレジュスの司教を経て1312年に枢機卿に任命されました。

1303年に起きたアナーニ事件以降、教皇庁がアヴィニョンに移るという状況が続く中、教皇ボニファティウス8世の死後、教皇選挙が行われました。最終的にヨハネスは1316年8月7日に教皇として選出され、驚異的な財政再建に取り組みました。

治世の特徴

彼の治世の間、教皇庁はアヴィニョンにとどまり、ヨハネス22世は教会の財政を堅実に再建しました。彼の施策により、教皇庁の金庫には豊富な金貨が蓄えられたとされています。また三位一体の祝日を制定し、教皇教令集を編纂して教会法の発展に寄与しました。さらに、伝道活動を奨励し、故郷カオールに大学を設立しました。

宗教政策においては、魔女を異端として扱う決定を下し、著名な神学者であるオッカムのウィリアムやマイスター・エックハルトに対する異端審問も行いました。その中で彼はフランシスコ会との清貧論争に介入し、会則の厳守を求める一方で、財の保持を認めるよう総長に命じました。

教皇権の確立

ヨハネス22世は1316年に教皇教令『エクス・デビトー』を発布し、聖職者に対する禄の授与権を正式に立法化しました。この教令はアヴィニョン教皇による聖職禄政策の根幹を形成し、教皇の権威を確立させる重要な役割を果たしました。

フランシスコ会における清貧に関する論争では、彼の決断が信者たちに深い影響を与え、信仰と財の関係に新たな明確さをもたらしました。しかし、この介入は教会内に激しい対立を引き起こす結果ともなり、彼の指導への疑念を抱く者も現れました。

皇帝ルートヴィヒとの対立

彼の治世はまた、神聖ローマ皇帝ルートヴィヒ4世との対立でも知られており、両者の関係は緊張が高まりました。ルートヴィヒは教皇廃位を求め、対立教皇ニコラウス5世を擁立しましたが、ヨハネス22世は最終的に勝利を収めました。

教理上の問題と晩年

ヨハネス22世は、至福についての独自の見解を示し、それが異端的であると非難されることになりました。彼の晩年はこの見解に対しての批判に満ちたものであったものの、死の間際にはその考えを悔い改め、教皇庁内での緊張を和らげました。

結論

ヨハネス22世の時代は、教皇権の確立と教会内部の論争が交錯した時代でした。彼の政策は教会法の発展に寄与しながらも、同時に教会内部の対立を引き起こしました。彼の治世は、教皇権が信仰と政治に深い影響を及ぼす一方で、その権威が内外から脅かされる複雑な状況を反映しています。

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