ヨブクル

ヨブクルの生涯とその業績

ヨブクル（モンゴル語: Юбугур、1324年没）は、チンギス・カンの孫アリクブケの息子として生まれ、モンゴル帝国の皇族として知られています。彼のことは『元史』や『集史』をはじめとする多くの歴史的文献に記録されており、中でもペルシア語の史料では「یوبوقور」として名前が表記されています。彼の人生は、モンゴル帝国内での政争や家族関係、そして帝国の統治に大きな影響を与えた出来事に彩られています。

幼少期と家族背景

ヨブクルの父、アリクブケは、兄のクビライと共に帝位を獲得しようとしたものの、反乱に敗れ、彼とその子供たちはクビライに従わざるを得ない状況に置かれました。アリクブケがいる間は、彼らはモンゴル高原に留まっていましたが、父の死後はクビライのもとへ出頭し、父の遺産を分配されました。この時、ヨブクルはイェスデル・カトゥンの所領を受け継ぐことになります。

シリギの乱と反乱の指導

ヨブクルの人生において重要な事件の一つが「シリギの乱」です。1276年、アリクブケ家の王族たちはクビライへの反発の思いから、叛乱を起こしました。ヨブクルもこの反乱の主要な人物となり、彼は反乱軍を指揮し、モンゴル高原で直接対決を繰り広げました。しかし、反乱軍は結果的に鎮圧され、彼自身も逃亡を余儀なくされました。その後、彼はカイドゥ・ウルスに逃れ、敵対関係にあった勢力と連携して動くことになります。

大元ウルスへの投降

1296年、ヨブクルは再び運命が動くことになります。彼は大元ウルスに投降する決断を下します。この行動は、カイドゥとの関係を見直すきっかけとなり、元の軍事的優位性が後ろ盾となっていました。彼の投降はオルジェイトゥ・カアンによって受け入れられ、彼の忠誠は高く評価されました。彼とともに投降した他の王族たちは、優遇されることとなり、これにより大元ウルス内の結束が強化されました。

晩年と子孫

ヨブクルは大元ウルスに投降後、数々の名誉を受け取り続けました。彼は威定王に昇格し、その後さらに高位に封ぜられました。しかし、彼の具体的な晩年の記録は乏しく、1308年頃に亡くなったと推測されています。リストには、フラチュ、アリー・ブカ、オルジェイ・テムル、ウルラという息子たちの名前が残されています。彼らの子孫もまた、いくつかの記録に登場し、モンゴル高原の歴史に名を刻むことになります。

王朝の興亡や争乱の歴史の中で、ヨブクルは重要な役割を果たし、彼の人生を通じてモンゴル帝国の複雑な内部関係が浮かび上がってきます。彼の物語は、当時の社会や政治的な状況を理解する上で欠かせないものであり、その影響は後世にも及ぶこととなります。

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