ヨブスマソウ

ヨブスマソウ（夜衾草）

ヨブスマソウ（学名: Parasenecio robustus）は、キク科コウモリソウ属に分類される多年草であり、山菜としても知られています。

名称の由来

和名「ヨブスマ」の由来にはいくつかの説があります。

コウモリに由来する説：葉の形がコウモリに似ているという説。
夜衾（よぶすま）に由来する説：夜着（寝具）を意味する言葉に由来するという説。
ムササビに由来する説：植物和名語源研究者の深津正は、ムササビが空中滑走する姿に葉の形が似ていると結論付けています。

地方によっては、ホンナ、ポンナ、ドウナ、ドッホナなどの別名で呼ばれることもあります。これらの名前は、茎を折った際に聞こえる音に由来すると言われています。

特徴

分布: 北海道、北関東以北の本州、サハリン、南千島、カムチャツカ、朝鮮半島、中国東北部に分布。
生育地: 山地の林の中や谷間の湿った場所に群生。
草丈: 90 - 250cm。
茎: 中空で、若い茎や葉には柔らかい毛が密生。
葉: 互生し、葉身は大きな三角状の鉾形または三角状腎形。長さは25 - 35cmで、左右の角がはっきりと張り出しています。葉の縁には鋸歯があり、葉柄には広い翼があります。葉柄の基部は通常、耳状で茎を抱きますが、抱かない場合もあります。
花期: 夏から秋（7 - 10月）。
花: 小さな白い花を多数咲かせます。
総苞: 10 - 12mm、総苞片は5 - 8個。
果実: 痩果で灰色、長さ約5mm、幅約1mmの狭倒披針形。冠毛は白色で長さ7 - 8mm。

類似種

オオバコウモリ (Parasenecio tschonoskii)：葉柄の上部にのみ翼があり、茎を抱きません。総苞は7 - 8mmとヨブスマソウより小型です。主に本州の日本海側に分布します。
イヌドウナ (Parasenecio aidzuensis)：葉が五角状腎臓形をしています。同属の植物です。

食用

ヨブスマソウは山菜として利用されます。独特の強い香りが特徴で、大きく成長しすぎると香りが強くなりすぎるため、葉がまだ巻いている太い若芽を採取します。少し成長したものは、茎の上部の柔らかい若葉を摘んで食用にします。

調理方法

1. 採取した若芽や若葉をさっと茹でて水にさらします。大きくなったものは5 - 6時間水にさらすと良いでしょう。
2. 茹でたヨブスマソウは、おひたし、和え物、煮びたし、卵とじなどにして食べます。
3. 生のまま天ぷらや掻き揚げ、汁の実、油炒めなどにしても美味しくいただけます。

参考文献

金田初代、金田洋一郎（写真）『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、90 - 91頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
中山至大、井之口希秀、南谷忠志『日本植物種子図鑑』東北大学出版会（仙台）、2002年2月25日。ISBN 4-925085-29-8。
高橋秀男 監修『野草大図鑑』北隆館、1990年4月30日。ISBN 4832600613。
宮脇昭ほか 編『日本植生便覧 改訂新版』至文堂、1994年10月10日。ISBN 9784784301478。
邑田仁・米倉浩司 編『APG原色牧野植物大図鑑II 〔グミ科～セリ科〕』北隆館、2013年3月25日、714頁。ISBN 978-4-8326-0974-7。

関連項目

イヌドウナ
コウモリソウ
タマブキ

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