ヨラム (イスラエル王)

ヨラムについて

ヨラム（ヘブライ語: יְהוֹרָם‎ Yəhōrām）は、北イスラエル王国の第9代の王であり、アハブ王の第二子です。また、彼はオムリ王朝の最後の王としても知られています。彼の名前はヘブライ語で「ヤハウェが高める」を意味しています。同じ時期にユダの王でもあった同名のヨラムは、彼の義理の兄弟にあたります。このユダの王ヨラムは、ヨラムの姉妹であるアタルヤと結婚しているため、二人の関係は親族に根ざしています。

生涯

彼の生涯は兄のアハズヤが子どもを残さずに亡くなったため、王位を継承することから始まります。そのため、即位の年や在位期間については、混乱が生じています。聖書『列王記（下）』では、彼がユダのヨシャファトの子であるヨラムの在位2年目に即位し、12年間治めたとされています。しかし、これは兄が病床にあった時期の共同統治の影響を受けているため、生涯の詳細を知るにはさらなる考察が必要です。

ヨラムは父アハブが建立したバアルの柱を排除しましたが、同時にヤロブアムと同じく偶像礼拝に従っていました。アハブの死後、モアブ王メシャが反乱を起こし、ヨラムはユダの王ヨシャファトとエドムの王から援軍を受けて連合軍を編成しました。彼らは荒野を経てモアブに進軍したものの、途中で水が不足し、預言者エリシャに助けを求めました。エリシャから預言された通りに堀を掘ると、翌朝、堀に水が満ち、その水が太陽の光を反射し、モアブ軍がそれを血の色だと誤解して攻撃を仕掛けました。しかし、実際にはイスラエル軍が待ち構えており、連合軍は見事に撃退されました。

モアブ王は最後の望みをかけて長男を生贄に捧げるも、これによりイスラエル軍に激しい憤りが生じ、連合軍は撤退せざるを得なくなりました。エリシャの預言により、ヨラムはアラムからの侵攻を免れましたが、その後ベン・ハダデがアラムの王になると、彼はイスラエルに攻撃を仕掛け、首都サマリヤを包囲しました。この際、ヨラムはエリシャの言葉を信じず、サマリヤは飢餓に苦しみました。

ヨラムはアラムの王ハザエルとの戦闘で負傷し、治療のためイズレエルに戻りましたが、イエフというヨシャファトの子が預言者の言葉を受けて彼を王位から引きずり下ろしました。イエフは弓でヨラムを射殺し、彼の遺体はナボデの畑に投げ捨てられ、これによりオムリ王朝は終焉を迎えました。以降、イエフ王朝が始まることになります。

また、ハザエルが立てたとされるテル・ダン石碑には、ヨラムの最期に関して異なる記述が残されており、彼は「負傷」ではなく「死んだ」とされています。

このように、ヨラムの人生は戦争と権力の移り変わりに満ちたものであり、彼の治世は北イスラエル王国の歴史における重要な一章を形成しています。

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